原爆被爆者を親に持つ「被爆2世」が、放射線による健康被害の可能性が否定できないのに援護を怠ってきたのは憲法違反だとして、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、広島高裁であった。高宮健二裁判長は一審・広島地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
国が援護の対象にしていないことは「違憲ではない」と判断した。原告側は最高裁に上告する方針。
高宮裁判長は判決理由で、遺伝的影響について「明確に否定されているとは言えない」としたうえで「医学的・科学的に証明されていない」と指摘。健康被害が生じる可能性は「(被爆者と)顕著な差異がある」と述べ、援護のあり方は立法府の裁量的判断に委ねられているとして「差別的な扱いに当たらない」と結論づけた。
原告は広島や大阪に住む50〜70代の男女27人。1人10万円の賠償を求め、2017年12月に広島地裁に提訴した。
同種訴訟では、福岡高裁は24年2月、「遺伝的影響は証明されていない」とした一審・長崎地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。原告側は上告している。
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