市民団体の「戦争を語り継ぐ会」の集まりで講演した安藤冨士記さん(右)=熊本市中央区で2024年11月30日午後1時50分、山口桂子撮影

 市民団体の「戦争を語り継ぐ会」の集いが熊本市中央区の「ウェルパルくまもと」であり、会で長年代表を務める安藤冨士記さん(94)が「純粋培養の軍国少年から」と題して講演。戦前、戦中の経験とともに、戦後に社会の価値観が一変する様などを語った。

 安藤さんは終戦当時15歳。熊本市中心部にあった「碩台尋常小学校」で入学して最初に教わったのは正門での最敬礼だった。学芸会では軍隊の兵隊役。「天皇陛下万歳」と唱えて息絶える場面を演じ、運動会では「武装競走」に取り組んだ。「徹底した軍国主義下の管理教育で一日も早く立派な軍人になるようたたきこまれた」と回顧した。

 一方、終戦後は進駐軍の上陸でラジオで英会話が流れるような生活に一変したが「それまで『鬼畜米英』と教え込まれてきた中でとにかく英語が嫌いだった」と吐露。教員として働いた後、退職後は「教え子を再び戦場に送りたくない」との思いで、語る会などで活動してきたという。参加者はみな、熱心に聴き入っていた。

 現在奇数月に開催する例会が計160回を迎える2025年1月19日は、節目となる戦後80年目の活動について意見交換する。参加者を募っており、希望者は「ウェルパルくまもと」に当日午後1時半集合。参加無料。【山口桂子】

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