日常の光景が広がるファストフード店で振るわれた凶刃が、15歳の命を奪った。北九州市の「マクドナルド322徳力(とくりき)店」で14日夜、中学3年の男女2人が男性に刺され、女子生徒が死亡した事件。車の往来や人通りが多い国道沿いの店舗内で起きた凄惨(せいさん)な事態に、驚きと動揺が広がった。
「店には普段からよく中高生が来ていて、事件が起きるような場所じゃない」。この店でアルバイト経験のある女子高生は困惑した様子で語った。被害生徒の姉とは友人といい「何て言っていいのか分からなくて(姉には)連絡できていない」と明かす。
現場近くに住む会社役員の男性(55)は「よく店を利用していたので驚いている。以前から中高生や若い人が勉強や憩いの場として夜も利用していた。一体何が起きたのか」と驚きを隠さなかった。
同世代の子どもを持つ保護者らにも衝撃が走った。
事件直後に現場に駆け付けた女性は「高校1年の息子が『後輩が亡くなったかも』と言っていた。『行っておいで』と送り出した娘さんが亡くなったとなったら、同じ子を持つ立場としていたたまれない」と声を震わせた。子どもが被害生徒の弟と中学校の同級生という保護者は「いきなり刺されたというのは、親として何と言えばいいのか分からない……」と絶句した。
現場近くの学習塾前では事件から一夜明けた15日、テストを終えた生徒を迎えに来た保護者らの車が列をなした。中学生の子どもがいるという父親は「事件があり、心配なので迎えにきた。早く犯人が捕まってほしい」と話した。
市教委は市内の小中高校や幼稚園について、15日はスポーツ大会を含む部活動や学校行事を全て中止し、子どもが参加予定だったイベントも取りやめた。PTA関係者は「子どもの安全安心と心のケアが最重要だ」と語った。【山下智恵、成松秋穂、栗栖由喜】
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