カメラに記録されていたのは、机を激しくたたき、響き渡る怒鳴り声で取り調べを行う検事の姿でした。
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
何で嘘ついたの？
取り調べを受ける人物：
嘘っていうか同僚…
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
嘘だろ。悪いと思っているのか！思っているのか！
今から5年前、大阪地検特捜部の検事だった田渕大輔氏。
20日、大阪地裁で開かれた冤罪事件の国家賠償訴訟を巡り、法廷で公開された映像をFNNが独自に入手しました。
明らかになったのは、連日のように机をたたき相手を怒鳴りつける特捜部検事の取り調べでした。
事の発端は2019年、大阪にある学校法人の土地取引を巡り、大阪地検特捜部は法人の元理事長や不動産会社「プレサンスコーポレーション」の社員らを逮捕。
このプレサンス社の社長だった山岸忍さんも事件に関与していたとして逮捕・起訴されましたが、その後の裁判で無罪が確定しています。
山岸さんは無罪判決後のインタビューで「こうやって無理にねつ造していくもんなんやと」と語っていました。
この冤罪事件で、特捜部が山岸さんを逮捕・起訴する根拠としたのが、山岸さんの元部下が山岸さんの関与を認める供述をしたという点でした。
一方、山岸さん側は供述をした元部下への取り調べに問題があったとし、国を提訴したのです。
その損害賠償訴訟の中で2024年6月、48分に及ぶ取り調べ映像の一部が公開されました。
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
だんだん悪い顔になってきているよ。
山岸さんの元部下：
いや、悪い顔じゃないです…
しかし、山岸さん側が求めていたのは、この時に開示されたわずか48分の映像ではなく、約18時間分という長い取り調べ映像の公開でした。
そして最高裁は10月、18時間分の映像を開示するよう検察側に命じたのです。
特捜部がこれまで公開を拒んでいた18時間分の取り調べ映像には、山岸さんの元部下が自分の意見を言おうとすると検事が大声で遮る様子が映されていました。
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
あなたの顔写真なんてテレビとかで流れてるんだよ！どんな気持ちで奥さんが毎日過ごしていると思う？それでもあなた、家族よりも今回一緒にやった事件の仲間や自分の方が大事なんですか？何なの！答えてよ！
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
なめんじゃないよ！いいかげんなこと言っちゃダメだろ。何でですか！答えなさい！
山岸さんの元部下：
事実は実際に何も変えていっているわけではない。
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
変えてるじゃないか！思い切り変えてるだろうが！
山岸さんの元部下：
変えてな…
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
変えてるだろ！
山岸さんの元部下：
自分の考えで…
大阪地検特捜部（当時）田渕大輔検事：
変えてるじゃないか！いいかげんにしなさい！
このような取り調べが行われていた背景について、元検事（特別刑事部）の西山晴基弁護士は「特捜部、特別刑事部の特徴ではあるんですけど、トップが決めたストーリーでトップが『こういう調書をとってこい』と」と話しています。
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