海上自衛隊の潜水艦を受注する川崎重工業が取引先企業との架空取引で捻出した裏金を使って潜水艦乗組員らの金品や物品を提供していた問題で、大阪国税局が十数億円の申告漏れを指摘したことが23日、関係者への取材で分かった。経費として認められない交際費と判断した。川重は今年度内に修正申告する方針。
一連の問題は今年7月に防衛省と川重が公表。防衛省は元検事らが独立した立場で調べる「特別防衛監察」を実施し、年内にも監察の中間報告をまとめる方針だ。川重も裏金作りなどに関わった人数や具体的な金品の流れについて、特別調査委員会を設置し調査を進め、年内に調査結果を公表する予定としている。
川重の裏金作りは取引先数社との架空取引によって捻出されており、大阪国税局の税務調査で発覚した。申告漏れは2023年3月期までの6年間で毎年2億円程度、計十数億円に上るとみられる。うち一部については所得隠しと認定され、重加算税を含む追徴税額は少なくとも約6億円となる見通し。
川重によると、神戸工場で潜水艦の修理などを担当する「修繕部」の従業員が取引先企業と共に、架空発注を行うなどして裏金を捻出。この資金で商品券や工具の購入費に充て、隊員らに提供していた疑いがあるという。
関係者によると、海自出身者が川重の下請け先に再就職後、現役の潜水艦乗組員らに物品などを提供するよう働きかけたとされる。裏金作りは税務調査で指摘があった期間より前から行われていたとみられ、長年の慣行となっていた可能性がある。
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