職員による患者への性的虐待が判明した独立行政法人・国立病院機構大牟田病院=福岡県大牟田市橘で2024年5月1日午後、降旗英峰撮影

 独立行政法人・国立病院機構大牟田病院(福岡県大牟田市)で、看護師ら男性職員5人が、身体障害のある入院患者11人に下半身を触るなどの性的虐待を疑われる行為を繰り返していたことが同病院への取材で判明した。そのうち6人については自治体の調査で性的虐待を受けたと認定された。同病院は外部の専門家でつくる第三者委員会を設置して調査しており、2日に記者会見を開き、経緯を説明するとしている。

 同病院によると、2023年12月、入院患者から「男性介護士に下半身を触られた」との訴えがあり、院内で調査を開始。職員らへの聞き取りなどを進めた結果、身体障害がある男女の入院患者11人が、看護師と介護士の男性職員計5人から虐待を受けた疑いがあることが判明したという。

 同病院は障害者虐待防止法に基づき、11人の居住先の自治体に通報。調査した各自治体は、そのうち男性患者2人、女性患者4人の6人について性的虐待を受けたことを認定したという。女性患者の胸付近を触る行為などが確認された。

 同病院は取材に対し「職員の倫理観が欠如していた」と説明。ただ、詳しい被害実態については患者が特定されるなどとして明らかにしていない。患者家族らに対しては4月下旬に説明会を開き、謝罪したという。川崎雅之院長は1日、「深くおわびする。徹底した原因究明と対策を講じるよう進めている」とのコメントを出した。

 同病院は脳神経内科や循環器内科など計12科があり、病床数402の半数以上が障害者病床。筋肉が萎縮する筋ジストロフィーなど難病患者の専門的な診療も担っている。【谷由美子、降旗英峰】

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