憲法記念日を前に記者会見する最高裁の戸倉三郎長官(東京都千代田区の最高裁)=代表撮影

最高裁の戸倉三郎長官は3日の憲法記念日を前に記者会見し、性的少数者の権利など多様性を巡る裁判が相次いでいる現状について「国民の価値観や意識の多様化が進んでいることが背景にある。裁判官一人ひとりに、日々の仕事や生活などを通じて主体的に知見を高める努力が求められる」と話した。

同性婚を認めない民法などの規定が憲法違反かが争われた訴訟は全国5地裁に6件起こされ、3月には札幌高裁が「違憲」と判断。夫婦別姓を認めないのは違憲と訴えた第3次訴訟も、同月に提起された。戸倉長官は「時代時代の社会の動きへの知見を深めるには環境を整えることが重要だ」とも述べ、研修の機会などを充実させる姿勢を示した。

今国会では共同親権の導入を柱とする改正民法が成立する見通しで、子どもの親権のあり方について父母間で協議がまとまらない場合、家裁が判断を担うこととされる。戸倉長官は「家裁への国民の期待は非常に重くなる。的確に対応できる体制をつくっていかなければならない」とした。

仙台高裁の岡口基一元判事を罷免とした4月の弾劾裁判の判決に関して問われると、「最高裁長官の立場で所感を述べるのは差し控えたい」としつつ、「裁判官が罷免判決を受けたことは大変重く受け止めている」と語った。

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