熊本、大分両県で計276人が犠牲となった2016年4月の熊本地震は14日、最初の激震「前震」から8年となった。一部区間で運休していた第三セクター「南阿蘇鉄道」は昨年7月に全線開通し、全壊した阿蘇神社(熊本県阿蘇市)の国指定重要文化財・楼門も12月、復旧した。生活再建の一方、記憶の風化を防ごうと、継承に向けた取り組みも進む。

2016年4月16日(上)と今年4月10日の阿蘇神社。2023年12月には国指定重要文化財の「楼門」(写真右下)の復旧工事が完了した(熊本県阿蘇市)=共同

熊本県益城町の震災記念公園では13日、小中学生ら約20人が「能登の皆さん、熊本から応援しています」などと記した竹灯籠を設置した。

中学3年の入江かんなさん(14)は「あっという間の8年間だった。14日のために良い準備ができた」と話した。

インフラ復旧は大きく前進し、地震の約2カ月後に創設された熊本県の復旧・復興本部会議は今月5日付で廃止された。蒲島郁夫知事は5日「復興に向けた取り組みが完了、もしくは完了のめどがついた」と述べた。

災害の記憶の継承に向けた動きも本格化しつつある。同県南阿蘇村の、地震で損壊した東海大阿蘇キャンパスの校舎脇には、震災の教訓を伝える施設「KIOKU(きおく)」が昨年7月にオープンした。

地震の映像や大破した乗用車などを展示し、語り部との交流スペースも設けた。地表に現れた断層も見学できる。県は被災市町村と、各地の震災遺構を巡るフィールドミュージアム「記憶の廻廊」の整備を進めており、中核拠点となる。

益城町では4月14日夜の前震、16日未明の「本震」で、観測史上初めて震度7を2回記録した。熊本、大分両県で計約4万3千棟の住宅が全半壊し、最大時計約19万6千人が避難した。両県の犠牲者のうち、約8割に当たる221人が災害関連死だった。

石垣が崩落した熊本城(熊本市)の復旧工事の完了は、52年度となる予定だ。〔共同〕

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