三重県鳥羽市の離島・神島で「端午の節句」の前日に行われる年中行事で、無病息災を願いショウブやカヤ、イタドリ、ヨモギを一束にして屋根や軒、海などにあげる「菖蒲(しょうぶ)上げ」が4日、行われた。島に伝わる独特の風習は過疎と高齢化に伴い、年々継承する家が減っている。
島民によるとショウブなどの束は例年、1年を意味する12束を準備し、うるう年の2024年は13束を用意した。匂いが強いヨモギやイタドリにも邪気を払う意味があるという。
束は屋根や軒に向かって投げる。さらに、神棚や船、海、島内の各地区に祭られる「荒神(こうじん)さん」にも供える。
男の子の家では、健やかな成長を願ってこいのぼりに束を結ぶ。だが、最近は島内の子どもが少なくなり、こいのぼりを掲げるのは、島外に住む孫が連休を利用して家族と帰省した時に合わせる家もある。
夜には「宵節句」として赤飯を炊き、子どもたちは「菖蒲湯」に入った後、ショウブをはちまきや髪飾りとして身につける風習もある。島の人たちは「家に子どもがいないと菖蒲湯に入るだけ」と話していた。【下村恵美】
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