高速道路を通行する際に利用するETCカードを巡り、暴力団組長の男が親族名義のカードを使い、不当に高速料金の割引を得たとして電子計算機使用詐欺罪に問われた事件の判決が8日、大阪地裁であった。末弘陽一裁判長は同罪の成立を認めた上で男に懲役10月(求刑懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。

判決によると、暴力団組長の金東力被告(67)は2022年11月と12月、弟(62)名義のクレジットカードに付帯するETCカードを挿入した車両で阪神高速道路を利用。現金で支払うより計1400円分の割引を受けて、不当な利益を得た。

判決理由で、末弘裁判長は高速道路会社の規約などを踏まえ「ETCカードは所定の審査を受け、貸与された者のみが利用できる」と指摘。被害額は少額であるものの、金被告は暴力団員で、ETCカードを持てないことを認識しており「常習的で悪質」と述べた。量刑については、被告が過去に傷害罪で実刑判決を受けていることも踏まえた。

弁護側は「道路会社は通行の際に本人確認をしていない上に親族間での貸し借りは一般的に行われている」として無罪を主張していた。

金被告と共謀したとして同罪で起訴されていた弟と車を運転した男(42)には懲役10月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

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