名古屋家裁が3月、同性パートナーと暮らす愛知県の男性に対し、「婚姻に準じる関係」として、パートナーと同じ名字への変更を認める決定を出していたことが9日、分かった。代理人弁護士によると、同性カップルを夫婦と同様の関係として変更を認めた判断は異例という。「同性婚が実現していない現状で、選択肢が広がると期待される」としている。

代理人によると、男性は鷹見彰一さん。昨年11月、同居する大野利政さん=いずれも仮名、30代=と同じ名字への変更を求める家事審判を申し立てた。2人は里子を育てている。書類上は鷹見さんが里親だが、名字が異なるため、子の病院受診など緊急時に、性的指向を周囲に明かしていない大野さんとの関係の説明を求められるといった恐れがあると訴えた。

家裁の鈴木幸男裁判長は今年3月14日の決定で「互いに協力しながら、子育てを中心として安定した生活を継続している。異性同士の夫婦と実質的に変わらない生活実態にある」と指摘。名字の変更について定めた戸籍法の「やむを得ない事由」に当たると判断し、変更を認めた。

また、海外で同性婚を認める国があることや、国内でも同性カップルを肯定的に捉える方向に意識が変化しているとして「現行法が許す限り、一定程度、異性カップルと同質の法的保護を与えることは社会通念上も許容される」と述べた。

2人は名古屋高裁で係争中の同性婚訴訟の原告。家裁の決定後、鷹見さんは役所で名字の変更手続きを済ませた。取材に「司法が真摯に向き合ってくれて、うれしかった」と喜びを語った。〔共同〕

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