福島県二本松市の70代女性が約50万円を騙し取られた、ロマンス詐欺事件。逮捕されたのはフィリピン国籍の67歳の女。2人の間に面識はなく、SNS上でウクライナイにいる日本人医師になりすまして接触したとみられている。どのように金をだまし取ったのか?今回のケースから、ロマンス詐欺の手口をみていく。

<恋愛感情を抱かせる>
「愛している」「あなたのような女性に出会うことが夢だった」といった、被害者の女性に恋愛感情を抱かせるような言葉を並べて「300万ドルを日本を送る費用がかかる」こうして現金を要求し、警察では二本松市の女性が総額で150万円をだましとられたことを把握している。
逮捕された女は、現金を引き出すいわゆる「出し子」で、他の共犯者がメッセージを送るなど組織的に犯行に及んでいたとみられている。

<騙されやすく気づきにくい>
こうした恋愛感情を抱かせ金をだまし取る手口は「ロマンス詐欺」と呼ばれていて、人の心理を巧みに利用し騙されやすい、騙されていることに気づきにくい点があると専門家は指摘する。
日本大学危機管理学部の木村敦教授は「最初に自分に興味を持ってくれた人に対して自分も興味を示しますし、やり取りの中で段々仲良くなっていく。相手が困っている時には、自分も相手をサポートしたいという気持ちになってきます。そういった信頼関係・心理が利用されますので、十分な信頼関係が構築された後にお金の話が出てきたときには、信じてお金を出してしまいやすい」という。

<SNS型投資・ロマンス詐欺の被害>
このロマンス詐欺は、一定の関係を築いた後にニセの投資話を持ちかけることが多く、投資詐欺と明確に区別することはできない。
福島県内では、2023年は23件で2億2902万円。そして2024年は3月まで3億2820万円と急増している。(福島県警察本部まとめ)

<被害増加の要因に高まる投資への関心>
被害が増えている要因として一つ考えられるのが、2024年から始まった新NISAなど数年前と比べて投資への関心が高くなっているということだという。
実際に投資に興味を持ち投資を目的としたSNSグループに誘われ、被害に合うケースもある。

<被害額が高額なのも特徴>
福島県内のなりすまし詐欺と比較してみると、2024年の3月までの被害件数はどちらも18件だが、なりすまし詐欺では1件あたりの被害額が約250万円なのに対し、投資・ロマンス詐欺は約1800万円と額が大きいのも特徴。

<自覚・相談で被害回避>
日本大学危機管理学部の木村敦教授は「自分だけで詐欺に気づくことは本当に難しい」と話す。
まず、SNSでマッチングサイトや投資などを利用する際は詐欺師が潜伏し接触する機会があると自覚すること。そして、何かを始める時は信頼出来る家族や友人に相談や報告することが大事だという。そうすれば、周囲の人も気がつける環境ができる。

誰しもが被害に遭う危険がある。被害にあった場合は、すぐに警察に相談を。

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