警視庁

 東京都新宿区のタワーマンションで住人の女性(25)が刺殺された事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された川崎市川崎区の職業不詳、和久井学容疑者(51)=殺人容疑で送検=が、女性を数十メートル追いかけながら襲っていたことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁は、和久井容疑者に強い殺意があったとみて調べている。

 事件は8日午前3時10分ごろに発生。マンション敷地内で無職の平沢俊乃さんが襲われ、死亡した。司法解剖の結果、死因は外傷性ショックだった。腹や背中などに数十カ所の傷があったという。

 捜査関係者によると、和久井容疑者は前日夜からマンション近くに止めた車の中で待ち伏せしていた。「声をかけたら逃げたので、追いかけて刺した」と供述しているという。凶器とみられる果物ナイフ2本のうち1本は折れていた。

 和久井容疑者は4年ほど前、平沢さんが以前経営していた飲食店を客として訪れ、知り合った。調べに「(経営を)応援するために1000万円以上を使ったり、渡したりしていた」とし、事件当日に会いに行ったのは「お金を取り返すためだった」と話しているという。

 和久井容疑者は、平沢さんにつきまとったとして警視庁からストーカー規制法に基づく警告を受けた2022年5月20日の当日、神奈川県警に「約1000万円をだまし取られ、ストーカー扱いされている」と相談していたという。

 県警は刑事事件として捜査するのは難しいと説明し、弁護士に相談するよう助言して対応を終了。その後もつきまとい行為が続いたことから、警視庁は5日後に和久井容疑者をストーカー規制法違反の疑いで逮捕。その後、処分保留で釈放されていた。

 和久井容疑者の父親は毎日新聞の取材に「趣味で持っていた車やバイクを売ってお金を作ったらしい。(和久井容疑者がストーカー規制法違反で逮捕されてからは)普通に生活していたが、その頃の恨みがずっと頭の中にあって、我慢しきれなくなったのかもしれない」と話した。【菅健吾、横見知佳、朝比奈由佳】

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