千葉県いすみ市がホームページで紹介しているおすすめ返礼品=同市提供

 千葉県で勝浦市といすみ市の2023年度ふるさと納税寄付額が、明暗を分けている。勝浦市は全国19位、県内トップだった前年度から約4億円減の約51億5000万円(約39万8000件)となった一方、いすみ市は前年度の3倍を超える約14億5800万円(約9万8000件)で、過去最高となった。23年10月から厳格化された「5割ルール」で、人気の返礼品が勝浦市からいすみ市に移ったことが影響したとみられる。

「5割ルール」って?

 同ルールは、返礼品などの経費を寄付額の5割以下にするという総務省の規定による。以前は扱いがあいまいだった受領証の発行や送料などを、23年10月から経費に含めることが明確化された。経費項目が事実上、増加することになり、多くの自治体が返礼品の内容や量、寄付額の見直しを迫られた。

 勝浦市の23年4~10月の寄付総額は約41億円(約33万件)で、前年同期の約2・2倍だった。5割ルールの厳格化を前に駆け込みの寄付が急増した。しかし、その後は申し込みが急激に鈍化。例年、集中する年末も振るわず、23年度の寄付総額は24年1月末段階で約49億6000万円(約38万件)にとどまり、さらに3月末段階でも伸びず、51億5173万5100円(39万8798件)となった。

 同市で最も人気が高かった返礼品「わけあり B級銀鮭(ぎんざけ)切り身」が23年10月以降、ラインアップから外れた。同ルールが厳格化されたことで、これまで入れてこなかった経費を製造費に盛り込む必要が出てきたため、提供業者が同市内にある工場からより生産能力の高いいすみ市内の工場での製造に変えたためだ。

 地場産品基準により、B級銀鮭はいすみ市の返礼品に変わったことで、同市の寄付額を押し上げた要因になった。

 同市によると、市内に本社を置く企業が提供する液晶ディスプレーの再生品でも寄付件数を増やすなど、B級銀鮭の相乗効果もあったとみられる。同市の担当者は「人気のある返礼品が移ってきたことで、いすみ市のふるさと納税をチェックする人が増えたのではないか」と話した。【岩崎信道】

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