内閣府が入る中央合同庁舎8号館=東京都千代田区で2021年1月19日、赤間清広撮影

 4月1日の改正障害者差別解消法施行に伴い設置された内閣府の相談窓口「つなぐ窓口」に約半年間で障害者や事業者などから計1163件の相談が寄せられたことが、内閣府の集計で判明した。改正法で新たに事業者に対して合理的配慮義務が課せられたが、差別に関する画一的な基準は示されておらず、障害者、事業者双方とも対応を模索している状況が浮かんだ。

 内閣府は2023年10月16日に窓口を設置した。差別を巡るトラブルなどを解決するため、一元的に相談を受け付け、内容に応じて自治体や各省庁などの担当窓口に取り次ぐようにした。設置は試行で期間は25年3月までとされており、メールと電話で対応している。

 内閣府は3月31日までの約半年間の相談件数を集計し、今月10日に資料をホームページに公表した。1163件の相談者別の内訳は、支援者や家族を含む障害者側817件、事業者209件、その他137件。月ごとの相談件数は増加傾向にあり、23年11月は158件だったが、3月は336件と2倍以上に増えた。

 障害者差別解消法は、行政機関や事業者に対して、障害を理由とする「不当な差別的取り扱い」を禁止する。障害者の活動が制限される社会的な障壁があった場合、本人から申し出があれば、負担が重すぎない範囲で個々のニーズに応じる合理的配慮を講じるよう求めている。

 内閣府によると、障害者側からの相談は「事業者に合理的配慮の提供を求めたが対応してもらえず、調整してほしい」「差別的な対応をされたので謝罪を求めたい」などの内容が目立った。一方、事業者からは「法改正で何が変わるか教えてほしい」「具体的に何をすればいいのか」という相談が多かったという。

 内閣府は相談に的確に対応するため、相談員向けの定期研修やミーティングを開き、専門性を向上させるとしている。

 つなぐ窓口の相談はメール(info@mail.sabekai-tsunagu.go.jp)、電話(0120・262・701)へ。電話相談は午前10時~午後5時に受け付ける(祝日・年末年始を除く)。【黒川晋史】

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