日本の伝統的な柄の「青海波」にヒントを得た微細構造=東京大学提供

東京大学は半導体材料のシリコンで熱を伝える方向を変える構造を開発した。日本の伝統的な和装に使う模様にヒントを得た。余分な熱を逃がして壊れにくい電子デバイスの開発に役立つ。

半導体を使う小型の電子デバイスは熱がこもりやすい。半導体材料のシリコンは熱を伝える向きを制御できない。デバイスの熱に弱い部分が壊れやすかった。

東大はシリコンを使って熱を伝える向きを変えられる構造を開発した。同心円の一部が扇状に重なる青海波という模様を参考に、約200ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位の構造を作った。温度を上下させると熱を伝える方向が90度変わった。従来は黒リンなどで熱を一定方向に伝える研究が進んだが、電子デバイスに応用しにくかった。

ただ現時点では熱の向きを制御できた温度帯がセ氏マイナス200度前後と極めて低い。構造の表面のざらつきを抑えるなどして、室温で制御できるように改良する。東京大の野村政宏教授は「熱に弱い部分をデバイスのどこに配置するかを考慮するなど、新しい発想で設計できる」と話す。

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