サイバー攻撃について説明するJAXAの山川宏理事長(12日、東京都千代田区)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は12日、2023年に受けたサイバー攻撃で「情報が漏洩した関係者に多大なご迷惑をかけたことは遺憾で、おわび申し上げる」と話した。関係先との信頼関係を損ないかねないとの認識を示し、情報セキュリティー対策を強化する方針をあらためて示した。

同日、東京都内で開いた定例記者会見で謝罪した。JAXAは5日にプレスリリースで攻撃の経緯を報告していた。山川理事長は「調査の結果、整理ができたので、可能な範囲でJAXAから情報をお伝えし、正確性を期すためプレスリリースの形をとった」と述べた。今後の対応については「政府や専門機関に助言を頂き、体制を強化するのが、我々が実施すべきことだ」と強調した。

JAXAの石井康夫副理事長も取材に応じた(12日、東京都千代田区)

3月まで情報セキュリティー関連の担当理事を務めていたJAXAの石井康夫副理事長も取材に応じ、「データがダウンロードされた形跡が個別に確認できた」と状況を説明した。サイバー攻撃では業務ソフト「マイクロソフト365」のアカウント情報などが盗まれ、正規の利用者を装って不正アクセスされた。

JAXAへのサイバー攻撃は23年6月に発生し、同年10月に外部機関からの通報で発覚した。仮想私設網(VPN)装置の脆弱性を狙われたもので対策を施したが、24年にも不正アクセスが複数回発生した。

23年の攻撃で情報漏洩があったが、ロケットや人工衛星の運用に関する機微な情報は含まれていないという。24年の複数の攻撃では情報漏洩はなかったとしている。

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