グーグル親会社アルファベットはネット広告事業の収益が拡大している(米カリフォルニア州)

【シリコンバレー=清水孝輔】米グーグル持ち株会社のアルファベットが23日発表した2024年4〜6月期決算は、売上高が前年同期と比べ14%増の847億4200万ドル(約13兆1900億円)、純利益が29%増の236億1900万ドルだった。5四半期連続の増収増益となった。ネット広告の2桁増収が続いたほか、成長分野のクラウド事業が拡大した。

1株利益は1.89ドル(前年同期は1.44ドル)で、売上高とともに市場予想を上回った。決算発表を受け、23日の米株式市場の時間外取引で株価は一時終値から1%強上昇した。

ネット広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億1600万ドルだった。そのうち動画共有サービスのユーチューブの広告は13%増の86億6300万ドルと市場予想には届かなかった。

インターネット経由でIT(情報技術)インフラを提供するクラウドコンピューティング事業の売上高は29%増の103億4700万ドルと市場予想を上回った。同事業として四半期ベースで初めて100億ドルを超えた。同事業の営業利益は11億7200万ドルと初めて10億ドルを上回った。

アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は23日、決算説明会で「当社がクラウド事業の顧客に提供する人工知能(AI)はすでに数十億ドルの収益を生み、200万人以上の開発者に使われている」と述べた。同社は高度なAI機能を生かし、クラウド事業をネット広告に続く収益の柱に育てようとしている。

グーグルは22日、ウェブサイトをまたいで消費者の閲覧履歴を共有する「サードパーティークッキー」の仕組みについて、廃止計画を打ち切ると表明した。プライバシーに配慮する目的だったが、代替技術に反発する英規制当局や広告業界の理解を得られなかった。

ピチャイ氏は廃止の撤回について「現在は利用者に選択肢を与えながら、プライバシーを強化する技術に投資するのが最善の道だと信じている」と説明した。ネット広告は業績が好調な半面、プライバシーに配慮する施策では混乱が続いている。

アルファベットは23日、9月に1株20セントの配当を実施すると発表した。同社は6月に初の配当を実施した。巨大IT企業は急成長による株価上昇で株主に報いる姿勢から、配当といった株主還元も重視する方針に移っている。

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