米アドビのデジタルメディア事業部門プレジデントのデイビッド・ワドワーニ氏は2日、「GDS2024世界デジタルサミット」(日本経済新聞社主催)に登壇した。ワドワーニ氏は生成AI(人工知能)の問題点として偽の画像や映像を簡単に作成できる点を挙げ、「政府主導の多くの規制が重要になる」と述べた。
奥平和行編集委員と対談した。アドビは入力された文章を基に画像を生成するAI「ファイアフライ」を23年に投入した。こうした生成AIの可能性について「反復作業を肩代わりすることで制作コストが減る。コンテンツ数が増え、クリエーター市場も拡大していく」と期待を込めた。
一方、個人が作成した偽の画像や映像がSNSで拡散される事例も増えている。このため「活用法の透明性の確保が必要だ」と訴えた。オリジナルと偽の画像を区別できるようにするため、企業には「撮影・編集履歴を記録する仕組みづくり」を求めた。
ワドワーニ氏は著作権の問題にも言及した。生成AIは膨大なデータやコンテンツを学習させる必要がある。「創作者の知的財産は確実に守らなければならない。開発企業がコンテンツ企業に対価を支払い、権利を確保することが欠かせない」と強調した。
対談の最後には今後の開発計画を示した。音声や3次元(3D)関連のAIのほか、動画編集者の負荷を減らす新機能などに力を入れる。
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