人工衛星などを活用した農地分析を手掛ける岐阜大発スタートアップのサグリ(兵庫県丹波市)の坪井俊輔・最高経営責任者(CEO)は2日、「GDS2024世界デジタルサミット」(主催:日本経済新聞社)で登壇し「衛星データと人工知能(AI)を活用して農地を見える化し、食糧安全保障や気候変動の課題解決につなげる」と述べた。
農業分野は日本で160万人が従事し、世界の労働人口の約30%が携わる大きな市場である一方で「耕作放棄地の増加や担い手不足などが深刻になっている」と説明した。
サグリはAIや人工衛星を活用して耕作放棄地や土壌の状態などの農地データを分析する。特定した耕作放棄地をデジタル化して自治体に提供するほか、農家はサグリのアプリで取得した土壌データをもとに効果的に肥料を投入できる。「近年肥料コストが2〜3倍に高騰しており、日本では肥料のコストに年間4200億円かかっている。肥料削減のポテンシャルは大きい」と話した。
サグリはこうした分析データを無償で提供する。農家が肥料削減など脱炭素の取り組みから得た二酸化炭素(CO2)量の削減効果をカーボンクレジットとして企業へ販売する仲介を担うことで、システム利用料を徴収せずに事業を運営しているという。
これまでアジアやアフリカなど12カ国で事業を展開し、10万を超える農家にサービスを提供してきた。「民間企業が社会課題の解決に貢献するモデルケースとなりたい。サグリのサービスを通じて、食糧危機や気候変動など様々な課題を解決し、未来の世代につないでいきたい」と語った。
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