政府の宇宙政策委員会は9日、宇宙政策の進め方を示す「宇宙基本計画工程表」の改定案を示した。2024年度内に予定していた次世代小型ロケット「イプシロンS」の打ち上げ時期を明記しなかった。11月下旬のエンジン試験が失敗したためで、今後の開発状況を踏まえて再度検討する。
改定案は12月中に開く宇宙開発戦略本部(本部長・石破茂首相)で正式に決定する。国の大型基幹ロケット「H2A」の最終機となる50号機の打ち上げを当初の24年度から25年度に延期する。日本とインドが協力する月の水資源を調べるプロジェクト「LUPEX(ルペックス)」は25年度から26年度に遅らせる。
イプシロンSは宇宙航空研究開発機構(JAXA)とIHIエアロスペースが開発した固体燃料ロケット「イプシロン」の改良機にあたる。当初は24年度中に実証機を打ち上げ、その後も大学や企業が参加する技術衛星を打ち上げる計画だった。
イプシロンSを巡っては、23年7月の能代ロケット実験場(秋田県)でのエンジン試験に続き、24年11月の種子島宇宙センター(鹿児島県)での試験にも失敗した。原因究明と再発防止対策に加え、試験設備の復旧も急務となっている。
H2Aの50号機は地球観測衛星「GOSAT(ゴーサット)-GW」を搭載する。日本の宇宙開発を20年以上支えてきたが、50号機をもって退役する。打ち上げを延期するのは、衛星側の部品交換や修理などの調整が必要になったためという。
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