とんでもないスクープ情報が入ってきた。2015年に公開されたトヨタのコンセプトカー「S-FR」の開発が再び始まったという。小型車の開発・販売を得意とするダイハツ、スズキと組む可能性もあるとのことだが、その詳細をお伝えする!!

※本稿は2024年4月のものです
文・写真・予想CG/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年5月26日号

■あの計画がまた動き出した!?

現代に甦るトヨタ スポーツ800のイメージだ。BEVではなく純ガソリンエンジンでの登場となるのが逆に新しい!?(ベストカー編集部作成の予想CG)

 ベストカー本誌2024年5月10日号で「スターレット復活」のスクープ情報をお届けした。これまでダイハツから供給されていたコンパクトカー、パッソ(ダイハツ名:ブーン)の次期型をトヨタが開発しているというもので、正式車名は不明だが、開発チームの間では「スターレット」と呼ばれているというものだった。

 なかでも注目はGRバージョンの存在で、WRCラリー4のベース車としても使えるクルマとして開発が進んでおり、エンジンは直3、1.3Lターボを搭載する。

 このエンジンはGRヤリス、GRカローラに搭載されている直3、1.6Lターボの小排気量版で、予想スペックは150ps/22.5kgm。まさに往年のスターレットターボを彷彿させる期待度満点のFFコンパクトスポーツになるという情報だった。

 これだけでも大いに期待が膨らむが、実は5月10日号の締め切り直後に、さらに強烈な情報が入ってきたのだ。この「スターレット復活」をきっかけに、S-FRの開発計画が再始動したというのである。

 S-FRは2015年の東京モーターショーで初公開となったコンパクトなスポーツカーで、その名のとおりFRレイアウトを採用している。2012年に86が登場し、その余勢を駆って、さらに小さなFRスポーツとして計画されたもので、「現代版トヨタスポーツ800」というイメージのスポーツカーである。

 トヨタとしては、その後2019年に登場したGRスープラと合わせて、大中小3種類のFRスポーツを揃える計画だったが、S-FRは頓挫していたという経緯がある。しかし、その開発計画が再浮上してきたというのだ。

■世界最小クラスのFRスポーツ!

エンジンは直3、1.3Lターボで、電動アシストなしの純エンジン。150ps前後となりそうだ

 情報筋によると「1.3Lターボエンジンの存在が鍵」ということだ。ラリー4ベースのGRスターレットに搭載することが決まっているエンジンだが、一車種の専用ユニットにするのは効率が悪い。「それならS-FRにも使ったらどうか」ということで議論が始まり、正式にGOサインが出たという流れである。

 今わかっているのは「コンパクトなサイズのFRスポーツ」ということだけだが、A~Bセグメントの量産FR車は世界的にもめずらしく、それだけで希少価値がある。

 2015年に公開されたS-FRにどこまで近いものになるかは不明だが、全長4000mm前後、全幅1700〜1750mm前後のサイズ感になるのは確実。もちろん、86/BRZよりも小さなスポーツカーとなる。

 86はスバル、GRスープラはBMWとの共同プロジェクトとすることで、単独では難しいスポーツカーの開発、生産、販売を続けてきたトヨタ。ではこのS-FRはどうなのかというと、こちらもトヨタ単独ではなさそうだ。具体的にはダイハツ、スズキとの共同開発の可能性が高い。

■3社共同プロジェクトは続いている

エクステリアデザインなどの情報はまだないが、コンパクトなクーペになることは確実。S-FR同様2+2シートか?(ベストカー編集部作成の予想CG)

 ベストカーは2021年12月26日号でトヨタ、ダイハツ、スズキの3社共同開発によるコンパクトスポーツカーの存在を初めてスクープした。リッターカークラスのミドシップで、中身は共通ながら3社それぞれの外装デザインを採用するという内容だった。

 あれから3年が経過し、トヨタの社長交代、ダイハツの不祥事とそれに伴う経営陣の一新などがあったほか、自動車業界全体の経営環境も激変。この件に関する情報が途絶えていたこともあって、編集部ではこの計画そのものがなくなったのかもしれないという見方をしていたのだ。

 しかし、「3社共同のプロジェクトはまだ続いている」というのが信頼できる筋からの最新情報。環境の変化によりやり方は変わった可能性があるが、コンパクトなスポーツカーを共同開発するという計画自体はまだ継続しているというのだ。

 これがS-FRに繋がるというのが編集部の見立て。2023年秋のジャパンモビリティショーでダイハツが見せた「ビジョンコペン」とは1.3LエンジンとFRレイアウトという点で共通しており、その関連性の高さも推測できる。

 トヨタはクーペでダイハツはオープンという作り分けも可能だし、スズキであれば「カプチーノの復活」という話題も提供できる。

 3社が組むことでトヨタ単独よりも注目度は高まるし、何よりも各社それぞれの趣向を凝らしたクルマが楽しめるというわけだ。

 登場時期など不明な点は多いが、動いていることは確かで、2026〜2027年には登場しそう。続報が入りしだいお伝えする!

●トヨタ コンパクトFRスポーツ予想スペック
・全長×全幅×全高:4000×1730×1320mm
・ホイールベース:2480mm
・車両重量:1100kg
・エンジン:直3、1.3L・DOHCターボ
・最高出力/最大トルク:150ps/22.5kgm
・トランスミッション:6MT/8AT
・駆動方式:FR
・登場時期:2026〜2027年
・予想価格:350万円

■トヨタ S-FRとは?

幻のコンパクトFRスポーツとなってしまったトヨタ S-FR

 S-FRは2015年の東京モーターショーで世界初公開となったコンセプトカー。全長3990×全幅1695×全高1320mm、ホイールベース2480mmで2+2シートのFRクーペだった。

 デザインテーマは「川の流れで角が削り取られた丸い石」というもので、スポーツカーなのに優しい感じが特徴的でもあった。エンジンの排気量や種類などは非公表だったが、6速MT搭載と発表。見た目も内容もかなり現実的で市販化確実と思われていたが、市場環境の変化もあってお蔵入りとなってしまった。

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