日産自動車は、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(5月22~24日、パシフィコ横浜)に出展し、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の概要を説明すると共に、次世代LiDARを搭載した『プロパイロット・コンセプトゼロ試作車』を公開した。
◆“ドアツードア”の運転支援を実現する「次世代プロパイロット」
日産自動車が出展した会場は、新たに用意されたパシフィコ横浜のノースホールだ。ここには乗用車を発売する自動車メーカーのほか、国内外のベンチャー企業が軒を連ね、多くの来場者で賑わっていた。
日産が掲げた「Nissan Ambition 2030」は、2021年11月に発表した2030年までの長期経営計画。その中で日産は、「電動化・知能化技術により自信とワクワク感にあふれ、より人や社会とつながる体験を提供することで、移動と社会の可能性を広げていく」とし、今回もそれに向けた展示が主体となっていた。
まず、電動化においては、カーボンニュートラル実現に向け、EVとe-POWERで電動化を推進してモーター駆動ならではの新しい魅力を生み出していくとした。そのために投入される電動車は、グローバルで34車種を予定する。また、次世代バッテリーや電動パワートレイン、EV専用プラットフォームによって、電動車としての魅力を高めながらコスト低減も図り、その結果、30年にはガソリン車並みにすることを目指す目標も掲げた。
知能化技術については、これまでも交通事故の死者数をゼロに向けた先進の運転技術を幅広い車種での展開してきた。そんな中で日産は、新たに緊急回避性能を備えつつ一般道や敷地内までの走行を可能にする、いわば“ドアツードア”の運転支援において“レベル2+”を実現する「次世代プロパイロット」を投入予定だ。
◆危険回避の核となる「グラウンド・トゥルース・パーセプション」
日産はすでに高速道路や自動車専用道路において、一定の条件下でハンズオフ運転を可能にするレベル2+走行を実現した「プロパイロット2.0」をEVの『アリア』とe-POWER搭載の『セレナ』で実用化しているが、新開発したプロパイロット・コンセプトゼロ試作車では、一般道や敷地内までも対象とすることで、ドアツードアでのレベル2+の運転支援機能を目指す。その核となっている技術が、開発中の「グラウンド・トゥルース・パーセプション(Ground truth perception)」である。
その最大の特徴は、周囲の交通状況をシステムが把握して、その状況に応じて危険回避の方法を自動的に変えることができることにある。たとえばそのまま自動ブレーキによって緊急停止させた方がいいか、あるいは停止せずに減速しながらハンドル操作によって避けた方が良いかなど、極めて判断が難しい複雑な状況をシステムが瞬時に判断して危険を回避するのだ。この技術はすでに2023年6月に発表しているが、今回の出展では、ここにドアツードアの運転支援技術が加えられたのが新しい。
その他、会場にはアリアや『エクストレイル』などに搭載されている電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」の仕組みがわかる展示や、モジュール化することでインバーター、モーター、減速機に加えて発電機や増幅器までを一体化する新開発電動パワートレイン「X-in-1」の試作ユニットを展示。同社の電動化技術、知能化技術をアピールしていた。
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