初代デボネアはまさかの22年もの間同じ姿で販売され、走るシーラカンスという異名を持つほどであった。でもフルモデルチェンジで様子が激変し、その後はセダン冬の時代が到来し市場から姿を消すことに。未だ中古車市場で初代モデルが超絶人気だが、このフルモデルチェンジは正しかったのか!?!? どうなのよマジで!!!!

文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部

■デボネアといえばやっぱ初代!! 2代目は変わりすぎたんじゃないか疑惑

変わりすぎだろ!! ってくらい激変した2代目デボネア。この代はAMG仕様も存在するなど、これはこれで気合が入っていたのだ

 三菱のフラッグシップセダンかつショーファードリブンとして3世代に渡って販売が続けられたデボネア。初代モデルは1964年に登場し、マイナーチェンジを繰り返しながら1986年まで22年にも渡って生産され続けてきたことから、“自動車界のシーラカンス”の異名が付けられたほどだった。

 ただその後を受けて登場した2代目モデルは一転して前輪駆動レイアウトのモデルで、デザインも一気にコンサバティブなものとなり、かなり異なるキャラクターとなってしまったのだ。

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■どうりでアメ車っぽいワケだ!! デザイナーは元GM!!巨大に見えるのに5ナンバーの不思議

巨大サルーンに見えるもののじつは5ナンバーサイズ。当時のセドリックもそうだが、なぜ昔のセダンは大きく見えるのか……

 1964年に登場した初代デボネアは、クラウンやセドリック、グロリアなどを競合ライバルとしたフラッグシップセダンとして登場。そのスタイルはアメ車を思わせるようなものとなっていたが、それもそのはず、デザインを手掛けたのは元ゼネラルモーターズのデザイナーの手によるものだったのである。

 ただ非常に立派に見えるスタイリングではあるものの、ボディサイズは5ナンバーサイズに収まっており、ホイールは14インチ、最小回転半径は5.3mと日本の路上にマッチしたサイズに収められていた。

 その後も搭載エンジンやデザインの変更などを受けつつも80年代半ばまでほぼ変わらぬスタイルで生産され続けたデボネアは、新車としては三菱系企業の役員車両としての需要がほとんどであった。

 だが中古車としては比較的高年式でありながら旧車らしい雰囲気が味わえるモデルとして、また古き良きアメ車の雰囲気を味わえるモデルとして、カスタマイズベースとしても人気を集めたのだった。

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■現代風になりすぎたのがダメだった!? でも韓国じゃ兄弟車が爆裂ヒット

 そんな初代の後を受けて1986年に登場した2代目モデルは、新たに「デボネアV」と名称を改めて登場。これは初代のある意味古臭いモデルというイメージを払拭するためや、VIPの頭文字、搭載エンジンがV型だったことなど、さまざまな意味が込められていると言われている。

 そんなデボネアVの最大の特徴と言えるのが、フロントエンジンフロントドライブのFFレイアウトを持っていたという点だ。

 その恩恵からボディサイズ以上に広くフラットに近い室内空間を持っていたデボネアVは、フラッグシップセダンに相応しいものとなっていたのだが、フラッグシップセダンは後輪駆動であるべきという考えがまだまだ根強く、販売面になかなか結び付かなかったというのが現状だった。

 その状況を打破するべく、三菱も当時は外部のチューナーであったAMGに依頼して、AMG製エアロを身にまとったモデルを制作してもらったり、イギリスの高級ファッションブランドだったアクアスキュータムが内装を手掛けたモデルをリリースするなど、新たな顧客を生むための施策を多く送り出していた。

 しかし結局デボネアVは1992年10月にフルモデルチェンジを実施するまでに3万台弱の生産台数に留まってしまい、一見すると商業的に失敗したと言われがちとなっている。

 ただ実は、当時提携関係にあった韓国のヒョンデからノックダウン生産モデルとしてデボネアVの兄弟車であるグレンジャーがリリースされており、このモデルが韓国で大ヒット。さらにデボネアVに搭載されていたV6エンジンも当時のクライスラーへOEM供給されるなど、トータルでみると三菱に大きなプラスをもたらす結果となった1台とも言えるのだ。

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