スバルの走りを究極にまで高めたSTIコンプリートモデルの「S2●●」シリーズ。現在までにS201から北米専売だったS209まで出ているが、そのなかで唯一「S」がつかないモデル、R205をクローズアップ!

文/ベストカーWeb編集部・渡邊龍生、写真/スバル、STI

■STIコンプリートモデルの最高峰がSシリーズだ

2000年にSシリーズ最初のモデルとして登場したS201

 STIのコンプリートモデルモデルには「tS」や「チューンドバイSTI」などもあるが、足回りやエンジンチューンまでを手がけたスバルスポーツ系最高峰モデルが「S」シリーズである。

 Sシリーズには3代目レガシィをベースとするS401、4代目レガシィをベースとしたS402で終わった「S4●●」シリーズもあるが、やはりSシリーズといえば歴代インプレッサWRX STIをベースとして「S2●●」シリーズがメインとなる。

 2000年に当時の初代インプレッサWRX STiバージョンVIをベースにEJ20ターボを最高出力300ps/最大トルク36.0kgmにまで高めたS201が発売。もちろん、台数限定での発売だ。

2005年に登場したS203

 続くS202からはベースとなったインプレッサが2代目GD型にスイッチし、2002年に初期丸目型スペックCをベースとしたS202、2005年に中期涙目型WRX STiのS203を発売。S204はその翌年2006年発売と矢継ぎ早に登場していた。EJ20ターボのパワーは最高出力320psに達していた。

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■3代目インプレッサWRX STIをベースに登場したR205

R205は歴代Sシリーズ唯一の5ドアHBベースモデルがベースとなっている。限定400台での販売だった

 そして、2010年1月に登場した3代目インプレッサWRX STIをベースとした初の5ドアハッチバックモデルとなる「R205」だ。S2●●シリーズで唯一、その名に「S」ではなく、「R」がついている。

 なぜか? そもそもSシリーズはSTIが手がけ、STIが考える最高の「走り」を最上の「クォリティ」で仕上げた特別(スペシャル)なモデルがSだという。

R205の「R」にはロードスポーツの意味が込められている

 このR205では、その最高の走り(RUN)を求めるコンセプトに特化したモデルの象徴として、当時のSTIが最も重視する走りのステージでオンロードでの最高の「ロードスポーツ」の意味をこのRに込めているのだという。

■STIのテクノロジーを惜しみなく投入!

R205のインテリア。スパルタンな雰囲気ながら尖った印象は受けない

 EJ20ターボは専用ボールベアリング式ツインスクロールターボと吸排気系を採用することで低速域を犠牲にすることなく、高出力化を実現したほか、リニアなトルク特性にして日常での街乗りからスポーツ走行までストレスを感じさせない仕立てに。

 ストッピングパワーではSTIがチューニングを施したブレンボ製フロント6&リア4ピストンキャリパーブレーキを採用。絶対的な制動性能とコントロール性を両立させたという。

EJ20ターボは専用ターボと吸排気系採用で最高出力320ps/最大トルク44.0kgmまで向上

 また、強靭でしなやかな走りを実現させるため、ピロボールブッシュを使ってリアサスストローク時のフリクションを低減させたうえで路面への追従性を向上させ、同じくリアにフレキシブルサポートにピロボールを追加したことでリアの応答性と追従性を向上。同時に乗り心地とロール感を改善させているのだ。

 ほかにもR205専用チューニングを施している専用タイヤと軽量高剛性のSTI製18インチアルミホイールを採用している。抜かりなく走りの全方向にSTIの全総力が注ぎ込まれているのだ。

■歴代唯一の5ドアHBベースのSTI最高峰モデル

STI独自チューンが施されたブレンボ製ブレーキを採用

 そのパフォーマンスはEJ20ターボの最高出力320ps/最大トルク44.0kgmにまで高められただけでなく、パワー&トルクに見合った足回りに空力デバイスを施してあり、「R」の称号に恥じない内容だったのは間違いないだろう。

 個人的にR205をクローズドコースでの撮影現場で運転したことがあるが、ノーマルのインプレッサWRX STIとは次元の違う走りを数m走っただけで実感でき、驚嘆した記憶がある。

ノーマルのWRX STIとは次元の違う走りが堪能できる!

 日本ではS208が最後となっている(S209はEJ25ターボ採用の北米専売モデル)が、R205は歴代モデルのなかでも独自の存在感を放っており、今なおその魅力は褪せていないように思う。

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