人間、年を取れば老化する。運転能力も低下する。当たり前のことだけど、クルマ好きにとっては、すんなりと受け入れられない。しかし老化が現実ならば、直視する必要がある。そして前向きに考える必要がある!!
※本稿は2024年5月のものです
文:清水草一/写真:ベストカー編集部、日産、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年6月26日号
■老化を自覚し「老人力」を身につけろ!
「老人力」という言葉が流行った。1997年に出版された赤瀬川原平氏の著書『老人力』が、「歳をとったことを“老人力がついてきた”と、前向きに捉えたらどうか」と提案し、それが社会現象となったのである。
私も還暦を過ぎ、さまざまな面で老人力がついてきた。特にクルマの運転に関しては、如実に老化を感じている。まずはこの、「老化を自覚する」という姿勢が大事ではないだろうか?
「俺はまだまだ1ミリも衰えてナイ!」と意地を張らずに、現実をビンカンに受け入れるのだ。そのうえで、自身の老化を前向きに捉えて、中高年なりの充実したカーライフを目指すべきじゃないだろうか!
中高年諸君! まずは下の老化度判定テストを受けてくれ。そこからスタートだ!
■あなたはいくつ該当する!? 老化度判定テスト
●意欲の衰え
・スピードを出したいと思わなくなった
・抜かれても何とも思わなくなった
・1分でも早く到着したいと焦らなくなった
・バカっ速なクルマに魅力を感じなくなった
・とにかく早く帰って横になりたいとよく思う
●脳の衰え
・「また道を間違えた……」と思うことがある
・「俺はどこに向かってるんだっけ?」と思うことがある
・「ここ、どこだっけ?」と思うことがある
・「俺、誰だっけ?」と思うことがある
●視力の衰え
・ステアリングスイッチの文字が見えない(老眼)
・最近、運転してるとすぐ目が疲れる(眼精疲労)
・とにかく視界がぼやける。特に夜はヤバイ(白内障等)
・人や自転車が突然視界に現われる気がする(動体視力低下)
・少し斜め前がもう見えない(視野狭窄)
●体力の衰え
・ATでも右足が疲れる。MT車を運転するなんてムリ!
・パワステでも五十肩でハンドルが回せない
・クルマの乗り降りが億劫。特にスポーツカーは厳しい
・シートに座ってるだけで腰がつらい時がある
・前を見てるだけでも首がつらい時がある
・歩くのはもっとつらいからクルマ
■判定! あなたの老化度は!?
前出の老化度判定テストは、私が自らの老化を参考に独断で作成したもので、医学的な裏付けはないが、誰が考えてもアタリマエの内容。
いくつ該当するかで老化度を測ることができる。40代のうちは、ほとんどのドライバーが該当ゼロだろうが、50代になるとポツリポツリとチェックが入り始め、60代になると急激にチェック数が増えるはずだ。
しかし、チェック数が多くたって、落ち込むことはない。それはつまり、運転の老人力がついただけのこと! 運転人生の新たな展開が始まったのだ。前向きに楽しもうじゃないか!
●該当:0〜1……スーパー中高年ドライバー
40代相当。中高年ドライバーとしてスーパーな運転能力を保っている。あなたはスーパーマンだ! 驕らず謙虚にスーパーなカーライフを謳歌しよう!
●該当:2〜3……エリート中高年ドライバー
50代相当。まだ運転にはほぼ支障を感じていないだろう。あなたはエリートだ! エリートはエリートのうちにエリートらしいクルマに乗ろう!
●該当:4〜8……スタンダード中高年ドライバー
60代相当。あなたはようやく、運転に関する老人力がついてきたところだ。やったね。これは人生の新たな展開だと考えるべきだ。新たなヨロコビの発見の機会でもある。そう、今こそすべてを前向きに捉えよう!
●該当:9以上……リスキー中高年ドライバー
70代相当。あなたは顕著に運転能力の衰えを感じていることだろう。しかし人間が老化するのは当然のことだ。それを受け入れ、自覚しているあなたはエライのだ! 自らが抱えるリスクをしっかり自覚して、対策を立てつつ、慎重に運転を続けよう!
■清水草一氏は該当「12」でした
私は数年前、草野球でボールを目に当てて以来、視力に問題を抱え、そこで4つチェックが入った。関節の痛みなども普通に始まり、スピードを出す意欲も急速に衰えている。結果的に20問中12問が該当し、堂々たるリスキー中高年ドライバーとなった。
しかしそれでも、頑張ればカウンタックやフェラーリを運転することができる。ある程度老化が進んでも、カーライフを諦める必要はないんだネ!
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