2024年5月21日、コーンズグループはアメリカのシンガーヴィークルデザイン（以下シンガー）とパートナーシップ契約の締結を発表した。シンガーはType964の911をベースにレストアと再構築を行っているグループだ。シンガー、そして今回のパートナーシップ契約について紹介していく。
文：西川昇吾／写真：ベストカー編集部
■ポルシェ911へのリスペクトがあるレストアグループ
2009年に設立されたカリフォルニアを拠点とするシンガーは自動車メーカーではない。964をベースに細部にまでこだわったレストアをしているグループだ。
発表会には創業者兼エグゼクティブ・チェアマンのロブ・ディキンソン氏とCEOマゼン・ファワズ氏が出席したが、その中でロブ氏の口から語られ印象的だったのがポルシェ911へのリスペクトだ。
彼は5歳の時に家族旅行で自身たちを追い抜く911を見てから、ずっと911の虜だと言う。そこから熱い911への想いを募らせ、自身が思い描く完璧な911を製作した。
しかし、幼い頃から虜になっているポルシェ911へのリスペクトがあるからこそ、ポルシェではなくシンガーのクレストが冠されている。そして「シンガーによって再構築されたポルシェ911」という表現を用いている。
「ポルシェ911」、その表記が最後に並べられていて、シンガーと連続していないことからもロブ氏を代表するシンガーグループのポルシェ911へのリスペクトを感じる。
シンガーによって再構築された911は、当初は自身のためにロブ氏が製作していたが、これが評判となりビジネスへと広がり、2009年にシンガー設立へと至った。しかし、当初はここまで広がるとは思っていなかったと語っていた。これまで約450台を受注しており、約300台が納車されたとのことだ。
■クラシカルなデザインと最新技術の融合
今回発表会に並べられたのはTurbo StudyとDLS Turboの2台。Turbo Studyは930ターボをモチーフにし、510PSのエンジンを搭載。迫力のワイドボディが特徴的なDLS Turboは750PSを発生するエンジンを搭載。この特徴的なエアロパーツは935や934をモチーフにしたものだ。
クラシカルな911のスタイリングを崩さず、現代の技術やエッセンスを取り入れているのが「シンガーによって再構築されたポルシェ911」の特徴だが、ウィリアムズと技術的なパートナーシップを結ぶことにより現代的な高性能が与えられているのも大きな魅力と言える。
ABSやトラクションコントロールといった現代的なシステムも搭載されていて、ボッシュやブレンボ、BBSなどが協力をしている。
■コーンズとのパートナーシップ
今回、日本マーケットの開拓としてコーンズという歴史あるハイエンドカーに精通している総合商社とパートナーシップを結んだシンガー。
コーンズ代表の林 誠吾氏は最初の出会いは自動車雑誌であったと語っていた。朝、自動車雑誌で見たシンガーによって再構築されたポルシェ911に眠気を吹き飛ばされるような衝撃を覚えたという。子供の時にクルマ好きになった感覚を思い出されたそうだ。
ロブ氏が5歳の時に911の虜になった瞬間、また林氏が写真で見て子供の時のクルマ好きに戻ったような感覚。実物を見るとそれはとても納得できるものであった。実車を見て直観で迷いなく「カッコイイ」と思わせるものだ。
コーンズは今回パートナーシップということで、国内で購入を希望するユーザーに向けて購入のサポートをする。シンガーによって再構築されたポルシェ911は細部にまで要望を伝えることが出来るオーダーメイドだ。その部分のサポートはもちろんのこと、納車後のメンテナンスもサポートしてくれる。
注文してから納車までは2～3年かかる予定とのことだが、日本でもこの魅力的なクルマが走り出す日が待ち遠しい。
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