しばらくの間、駐車場に停めていた愛車に戻ってみたら、ボディが鳥のフンだらけに……。「どうせまた汚れるから」と、そのまま放置してしまうと、取り返しのつかないことになってしまうかも!?
文/井澤利昭、写真/写真AC
■鳥たちはなぜクルマのボディにフンを落としていくのか!?
洗車をしたばかりのボディに水玉模様のごとく点々と付着した白い汚れ。意識をして街中を見てみれば、同じような汚れ=鳥のフンが着いたままのクルマが、思いのほか多く走っていることに気がつく。
ドライバーであれば誰もが経験したことがあるだろう鳥のフンによる被害だが、そもそも鳥たちは、なぜクルマのボディにフンを落としていくのだろうか?
その理由については諸説あるが、そのひとつとしてよく言われているのが、クルマのボディを水場と勘違いして集まってくるという説。
真偽のほどは定かではないが、太陽の光を反射してキラキラと光るクルマのボディや窓ガラスを見た鳥たちが水面と思ってしまう……というのは、確かに説得力のある話だ。
また、自分たちの縄張りを誇示するための威嚇行動が原因と考えられる説も。
これはサイドミラーや窓ガラスに映った自分の姿を、縄張りに侵入してきた敵と勘違いし、自分のテリトリーを守るためのマーキングとしてフンを残していくというもの。
同じ場所で頻繁に鳥たちのフン被害に遭う場合は、その場所が水場や縄張りと鳥たちに思われている、という可能性があるわけだ。
■ボディカラーによって鳥のフン被害に差がある!?
愛車のボディに鳥のフンがついたまま街中を走るのはなんともみっともないもの。スタイリッシュなスポーツカーやプレミアムカーもフンだらけでは、そのカッコよさも台なしだ。
特に黒や濃紺など濃い色のボディでは、白い斑点がより目立って見えてしまうものだが、鳥のフンによる被害は、ボディカラーによって違いがあるのだろうか?
そんな面白い調査を実際に行ったのが、イギリスで自動車用品を手がける「Halfords Group」だ。
のべ1140台にも及ぶクルマを対象に調査をした結果、赤いボディのクルマが最もフン被害が多く約18%、次いで青が14%、黒が11%と、比較的濃いボディカラーのクルマにフンによる被害が多かったという。
赤いボディに関しては、熟した果実などと見間違えて鳥が集まってきたのでは? とも言われているが、「ホンマかいな?」というのが正直なところ。
いっぽうで黒や青は水面にも見える色合いだけに、先ほども述べた水場と勘違いしているという説を裏づける結果……と考えられなくもない。
その真相は鳥たちのみが知るばかりだが、上記のボディカラーのクルマに乗っている人は要注意ということには間違いない。
ちなみに台数が多そうなぶん、フン被害に遭う可能性も高そうに思える白いクルマは7%で思いのほか少なめ。一番被害が少なかったの緑で、わずか1%だったという。
■付着した鳥のフンをそのまま放置するのはNG
鳥のフン被害が日常的になってしまうと「次の洗車までそのままでいいか」と、つい放ったらかしにしてしまいがち。
とはいえ早めに対処しておかないと、見た目が悪いだけではなく、愛車のボディに重大なトラブルを引き起こす可能性が高い。
その原因となるのが鳥のフンの主な成分だ。
季節や鳥の種類によっても異なるが、鳥のフンの成分は主に尿酸やタンパク質、ナトリウム、アンモニアなどが一般的。
このなかでも汚れとして特に目立つ白い部分である尿酸は強い酸性物質で、長い時間そのまま放置すると、ボディの塗装を侵食してシミの原因となるのはもちろん、最悪の場合、塗装面にヒビが入ってしまう可能性すらありうる。
愛車のボディに鳥のフンがついているのを見つけたら、一刻も早く拭き取ってしまうことが大切だ。
■フンを除去する時にも注意が必要
ボディに付着したフンはできるだけ早く取り除くことが必要だが、その際、注意したいのがフンの状態。
付着したばかりの湿った状態であれば、ウェットティシュや濡らしたティッシュペーパーなどで拭き取るだけで、きれいに落とすことができる。
問題なのは、付着してからある程度時間が経過し、水分が蒸発して乾いてしまった鳥のフンだ。
この状態のフンをティッシュなどでゴシゴシ擦ると、ボディに傷をつけてしまう危険があり、下手をすると擦った部分が白く曇ったような状態になってしまうことも。
もちろんツメなどでゴリゴリとこそぎ落とすのはもってのほかだ。
乾いたフンは、拭き取る前にたっぷりと水をかけるか、濡れたタオルなどを上に置いてしばらく放置し、十分にふやかす。
フンが柔らかくなったところで、ウェットティッシュなどで拭き取るが、フンには植物のタネや砂などの固形物が含まれている可能性があるため、決して力をいれず、優しく作業するのがポイントだ。
カー用品店ではフン専用のクリーナーなども用意されているため、出先でもすぐさま対処できるよう、車内に常備しておくのもあり。
なお、鳥のフンには人体に害をなす菌などが含まれていることもあるため、除去作業は素手ではやらず、必ずゴム手袋などを使用したい。
もちろん作業後は、しっかりと手を洗うようにしたい。
■鳥のフン害から愛車を守る方法は?
相手が自然の生き物である以上、鳥のフン被害を完全になくすことはなかなか難しい。
とはいえ、工夫次第では被害をある程度軽減することができる。
簡単で日常的にできる対策としてまずやっておきたいのが、クルマを停める際、サイドミラーは必ずたたむこと。
冒頭でも述べたとおり、鳥はミラーに映った自分の姿を縄張りに侵入してきた別の鳥と勘違いすることがあるため、これを防ぐためにはミラーを畳んで反射する面をできるだけ見せないようにしておくのが重要だ。
また、自宅や勤務先など日常的にクルマを停める場所であれば、クルマ全体を覆えるカバーの導入も効果的。予算や環境が許すのであれば、カーポートなど、ガレージの上に屋根を設置するのも手だ。
いっぽう、クルマを停める場所の上に通る電線に鳥が集まってくるというケースであれば、電力会社に相談するのもありだ。
会社によっては、鳥のたまりづらい電線カバーの取り付けや、電線のルートの変更などで対応してもらえることがあるとか。
加えて、本来はボディのツヤ出しのために施工するコーティング剤なども効果的。フン被害を防ぐこと自体はできないものの、ボディについたフンが落としやすくなるのはもちろん、フンから塗膜を守る効果も併せて期待できる。
愛車を鳥のフン害から守るためには、日頃の備えと素早い対処が肝心。フンが付着したら放置せず、すぐに拭き取ることを、まずは習慣づけるようにしておきたい。
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