レクサスから、豊田章男会長の別名「モリゾウ」の名を冠したLBXが登場。クルマとの対話を重視するモリゾウさんお墨付きのモデルだが、本格的ながら武闘派ではない、レクサスらしいクルマに仕上がっていた。
※本稿は2024年7月のものです
文:ベストカー編集部/写真:奥隅圭之
初出:『ベストカー』2024年8月26日号
■レクサス LBXに「MORIZO RR」登場
レクサス最小サイズのプレミアムカーとして人気のLBXに、本格スポーツグレードの「MORIZO RR」が加わった。
MORIZOは豊田章男会長のマスタードライバーとしての名前、RRはそのMORIZOも所属するレーシングチーム「ルーキーレーシング」のこと。章男会長キモ入りのクルマということだ。
エンジンはGRヤリス、GRカローラに搭載されているG16E-GTS型直3、1.6Lターボで304ps/40.8kgm。駆動方式はトルセンLSDを組み合わせた専用開発のGR-FOURとなる。
つまりはGRヤリスのレクサス版というわけで、あの迫力のある走りをプレミアム感のあるクルマで楽しみたいという人に向けた一台ということ。トランスミッションは6速iMTと8速DAT(ダイレクトAT)が用意される。
1.5LハイブリッドのLBXがスニーカーだとしたら、LBX MORIZO RRはスパイクというイメージらしいが、それでもレースで勝つことを目的としているのではなく、もっとカジュアルにスポーティな走りを楽しめるクルマを目指しているという。
ストレスなく、思いどおりに高速道路やワインディングを駆け抜けられるということだが、スポット打点を469カ所追加し、構造用接着剤も塗布範囲を約12.8m延長するなどしてボディを強化し、走りも下山テストコースで徹底的に鍛え上げた。
その走りをレジェンドレーサーにして元GT-R開発ドライバーの鈴木利男氏にチェックしてもらった。
■狙いはサーキットではなく一般道
コースは袖ヶ浦フォレストレースウェイ。まず8速DATからコースイン。以下、利男氏のコメント。
「コーナーでは背の高さを感じるし、ロールも大きめ。柔らかめのタイヤ(コンチネンタル スポーツコンタクト7)なのでサーキット向きではないけど、一般道ならこのくらいがいいはず。このクルマのキャラクターに合っていると思います。
シャープなハンドリングというタイプではなく、ステアリングを切った時の応答性はGRヤリスより弱めだし、ノーズの回頭性もサーキットではもう少しシャープなほうがいいんだけど、そのあたりを詰めていくと全体のバランスが崩れる可能性はありますね」
競技ではなく、一般ユースでスポーティさを感じさせるためのセッティングだということ。レクサスのブランドイメージを考えれば妥当だと言えるだろう。
続いて6速iMTに乗り換える。
「やはりMTのほうが軽快ですね。エンジンは上までよく回るし、その間のトルクの谷もありませんが、気持ちのいいフィールという感じではなく、力ずくで回している感覚ですね。それもこのエンジンの個性でしょう」
リアのスタビリティがとても高いことが助手席でもわかる。
「何をやっても破綻しない安定性の高さを感じます。ブレーキングからのターンインで少し上屋の重さを感じる場面もあるんですが、SUVタイプのボディ形状だからやむを得ないですよね。逆にこういうクルマで、ここまでスポーティに走れるのは今までなかったのではないでしょうか」
サーキットのラップタイムを削るような走りではなく、一般道での爽快な走りを目指したクルマということ。本格的なスポーツエンジンや4WDシステムを使いながら、上質な走りに磨きをかけているのだから贅沢な話である。価格は6速iMT、8速DATともに650万円だ。
●このクルマのPOINT
・GRヤリス&カローラの1.6Lターボエンジンと4WDシステムを移植
・4WDはLBX専用チューニング
・レクサス唯一のMTを設定
・100台限定の専用カスタマイズ車「ビスポークビルド」も用意
●レクサス LBX MORIZO RR 主要諸元
・全長×全幅×全高:4190×1840×1535mm
・ホイールベース:2580mm
・車両重量:1440kg
・エンジン:直3、1.6LDOHCターボ
・最高出力:304ps/6500rpm
・最大トルク:40.8kgm/3250〜4600rpm
・トランスミッション:6iMT/8DAT
・駆動方式:フルタイム4WD
・サスペンション形式(F/R):ストラット/ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイズ:235/45R19
・価格:650万円(6iMT/8DAT)
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