センコーは、ダブル連結トラック100編成の運用を発表した。大型トラック2台分の輸送量を持つフルトレーラ、ダブル連結トラックは2024年問題やドライバー不足、そして環境問題への対策として注目されている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/センコー、フルロード編集部

2030年までにダブル連結トラック100編成へ

センコーは、路線バスのように気軽に利用できる物流サービスを目指し「物流バス」と呼称する、ニーズに合わせたさまざまな輸送チャンネルの提供を行なっている。ダブル連結トラックもその輸送チャンネルの一つ

 現在、センコーではダブル連結トラックを用いた中継輸送が行なっており、関東〜関西を結ぶ8編成の車両が運行中だが、2024年度には新たに中部〜関東を結ぶ6編成の運行を予定している。

 そして2030年までにダブル連結トラックの導入を加速させ、100編成体制を早期構築、物流課題解決を目指す高度な輸送チャンネルを提供する計画だ。

 センコーのダブル連結トラックを活用したこれまでの取り組みは、各協力会社の積荷を集約した共同配送と中継輸送に加え、セパレート方式による配送といった特徴が挙げられる。

 具体的には、関東センター(厚木支店)と関西センター(阪神主管支店)を発着拠点とし、中間地点(新東名・浜松いなさ路外駐車場「ドッキングステーション」)でドライバーの乗り替えを行ない、さらにセンターに到着した車両は、ドリー(連結装置)を切り離すことで、自走ができるフルトラクタ側とセミトラクタで運搬できるトレーラ側に分け、配送を担うというものだ。

 こうした効率的な運用による省人化およびCO2排出量の削減の効果は、これまで運行実績からも明らかになっており、さらなる拡大を進めれば、大きな効果をもたらすことが期待される。

 ダブル連結トラック100編成は、大型トラック200台に相当し、センコーが試算した東京〜大阪間における大型トラック4台をダブル連結トラック2編成で換算した場合の効果として、2030年には年間42万840.6時間を削減、CO2排出量としては、年間2万472.4トンの削減が見込まれる。

センコーが試算したダブル連結トラックによる省人化、CO2排出量削減効果


 また、センコーグループは、新東名高速の浜松SAスマートインターチェンジ近くに、トラック中継輸送専用の大型施設「TSUNAGU STATION」を2024年8月より開所予定で、ダブル連結トラックのドライバー切り替え拠点としても活用していく方針だ。
 
 連結全長21m超級(最大25m)のダブル連結トラックは、平成31年1月29日に行なわれた特殊車両通行許可基準の緩和により本格導入が始まった。令和4年11月8日には通行区間をこれまでの約2050kmから約5140kmに延長する大規模なルート拡充が行なわれ、本州・四国・九州におよぶ主要道路で通行ができるようになった。

 国土交通省によれば、令和3年3月時点ではダブル連結トラックの許可台数は35台(運行企業数7社)だったが、通行区間・中継拠点・休憩施設などのインフラが整い始めたこともあり、令和5年6月には、許可台数は270台(運行企業数は15社)と、約2年で導入する企業の車両台数は急激に増加している。ドライバー不足や物流の働き方改革を背景に、今後も導入する企業や車両台数は拡大していきそうだ。

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