日本でいち早くキャンバストップを流行らせたクルマといえば、フォードのフェスティバじゃなかろうか。フォードといっても輸入車じゃない。なんとこいつ、マツダが作って大ヒットした日本車なのよ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:マツダ、Wikipedia
■オートラマ最大のヒット作!
バブル景気華やかなりし頃、マツダはオートラマというディーラー網を持っていた。このオートラマは当時マツダと提携関係にあったフォードブランドのクルマを売る販売チャンネルで、レーザーやテルスターといった「マツダが作ったフォード車」を取り扱っていた。
そういったクルマの中でひときわ人気を誇ったのが、コンパクトハッチバックのフェスティバだ。
初代フェスティバがデビューしたのは1986年のこと。全長たったの3475mmというほぼ軽自動車級のサイズでボディは3ドアのみ。エンジンは1.1Lと1.3Lをラインナップしたが、1.3Lでも64psとマイルドな設定。ちなみにこのエンジン、後に排気量を拡大してユーノス・ロードスターに積まれるB型である。
というわけで、いっけん地味な存在のフェスティバだったが、いざ発売してみると人気を集め、オートラマ最大のヒット作となった。
その理由だが、まずはデザイン。運転の苦手な人でも取り回しやすいボディサイズでありながら、わずかに張り出した前後のオーバーフェンダーがさりげないスポーティさを演出し、こいつが男性ユーザーからもあなどれない人気を集めたのだ。
いっぽう女性ユーザーにも刺さるポイントがあった。それがキャンバストップだ。当時すでにサンルーフは当たり前の存在だったのだが、ルーフ全面がドーンと開くキャンバストップは圧倒的にオシャレで解放感があり、女性ドライバーから絶大な人気を得たのである。
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■モデル後期にはDOHCモデルが登場!
そして初代フェスティバといえば、クルマ好きにとって忘れられないのがGT-Aだろう。このクルマ、モデル後期に登場した1.3LのDOHCモデル「GT-X」をベースにした300台の限定モデル。ドイツのスカラデザインが手がけた丸形ヘッドライトのフロントセクションが大迫力だった。
そのパワーは88psと控えめなものだったが、車重が800kgしかないからなかなかの走り。7500回転のリミットまでエンジンをブン回して走れば、痛快なドライブが楽しめたのだ。
こうして1990年代前半の人気車となったフェスティバ。末期には5ドアやセダンのニーズに応えようと、韓国の起亜が出がけたフェスティバ5やフェスティバβ(ベータ)が導入されたが、左ハンドルゆえ日本ではヒットすることはなかった。
それでも初代フェスティバの累計生産台数は18万8229台。昭和世代にしたらどこか胸がキュンとなる懐かしの1台といえる。
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