まだまだ厳しい残暑がつづくなかではあるが、それもあと少し。食欲の秋、読書の秋といわれるが、秋は紅葉を見ながらのドライブも楽しめる季節だ。よく晴れた秋空のもと、オープンカーのルーフを開けてドライブができれば、涼しい空気をダイレクトに感じられるし、日々の緊張感から開放されて気分転換もできる。

 ただ、国産のオープンカーはごく少数かつ実用性に欠けるクルマばかり。輸入車であれば多少選択肢も増えるが、どれも高価であり、庶民にとってオープンエアでドライブを楽しむことは夢のまた夢。実用的なクルマでもオープンエアを楽しみたい!! ということで、ルーフが開いたらうれしいクルマをいくつか挙げてみた。

文:吉川賢一/写真:MITSUBISHI、SUZUKI、HONDA、TOYOTA、NISSAN

ガラストップのタフトを超えろ!! 「デリカミニ ガラストップ」

 人気の軽スーパーハイトワゴンにSUV風のデザインを与え、同社のオールラウンドミニバン「デリカD:5」の名を冠した、三菱の「デリカミニ」。このデリカミニに、広大なガラスエリアのグラストップ仕様を用意するのはどうだろうか。

 ダイハツの「タフト」にも、前席の頭上に大きく広がるガラストップ(スカイフィールトップ)が備わっているが、普段見ることのない頭上の景色を一望できる、あの解放感は心地よい。デリカミニではさらに、セミオープンでもいいからガラスルーフを開けられるようにしてほしい。タフトよりも一歩進んだ装備となれば、人気のデリカミニにさらに魅力を追加することができる。

2023年4月に登場し、大いに話題となったデリカミニ。広大なグラストップ仕様があったら面白いかも
デリカミニの中古車をもっと見る ≫

あえて標準車で採用を!! 「スイフト コンバーチブル」

 高いクオリティとコストパフォーマンスの高さが魅力のコンパクトカー、スズキ「スイフト」。タイムレスなデザインをまとって登場した今回のスイフトは、輸入車のMINIのようなお洒落な雰囲気があり、ぜひMINIコンバーチブルのような、幌製のオープンボディ仕様を用意してほしいところ。スイフトのイメージを爆上げしてくれるのではないだろうか。

 ひとつこだわりたいのは、スイフトスポーツではなく標準のスイフトで設定してほしいというところ。そのほうが、おしゃれさが増していいような気がするがどうだろうか。

スイフトスポーツではなく、標準車のスイフトにキャンバストップを設定し、「お洒落なオープンコンパクト」を狙うのはどうだろうか

キャンバストップが似合いそう!! 「フリード クロスター キャンバストップ」

 コンパクトカーでもうひとつ、2024年6月にフルモデルチェンジとなった、ホンダ新型「フリード」にも、オープン仕様があったら面白いと思う。コンパクトボディながら室内が広く、両側スライドドアのあるフリードは、アウトドアを楽しむユーザーにもヒットしている。スライドドアの上側レールを残す必要があるが、幌製のルーフが後方まで開くキャンバストップならば、実現できるだろう。キャンバストップは、フィアット500Cやルノートゥインゴ キャンバストップのように、コミカルなクルマによく似合う。新型フリードにもきっと似合うはずであり、アウトドアへ出かけるのがより楽しくなりそうだ。

アウトドアテイストを強めたフリード クロスターに、幌製のルーフが後方まで開くキャンバストップ版があると面白いはず

ムラーノ・クロスカブリオレの感動をもう一度!! 「アリアNISMO・クロスカブリオレ」

 かつて日産には、「ムラーノ」というラージサイズのSUVが存在した。北米ではいまも3代目となるモデルが活躍しているが、日本で販売されていたのは初代と2代目。実はこの2代目ムラーノには、北米限定で「ムラーノ・クロスカブリオレ」という、電動の幌をルーフにした仕様があった。これをぜひ、今度はBEVである「アリア」でやってほしい。

 ムラーノでは、ルーフ骨格を切ったことで失ってしまった車体剛性の補強は、フロア骨格剛性を補強することで対策したそうだが、アリアの場合、バッテリーが敷き詰められたフロア剛性が超強靭なので、車体剛性に関する心配は、ムラーノよりは少なくてよいはず。2024年6月には、高性能版のアリアNISMOも発売開始となったことだし、アリアNISMO・クロスカブリオレ、としてやってみてほしい。

アリアNISMOのクロスカブリオレ仕様があったら楽しいかも

ミニバン王者の戯れ 「アルファード オープン」

 また、ミニバン王者であるトヨタ「アルファード」にも、オープン仕様があったら面白い。アルファードのオープン仕様については、東京モーターショー2015において、トヨタ車体が「アルファードエルキュールコンセプト」という、2列目シートの頭上から3列目シートの後方まで開くソフトトップが備わるモデルを出展していた。クルマというよりもクルーザーのようなモデルだったが、クルーザーのように後席で流れる風を存分に味わうのは、さぞ心地いいだろう。アルファードをベースに特別注文でのオーダーとすれば、案外売れるのではないだろうか。

ルーフのない頭上の景色を、豪華な2列目シートに座りながら眺めるという贅沢

最後の最後に出してみては!?? 「GT-R ロードスター」

 2025年8月に生産終了となることが明らかとなっている日産「GT-R」だが、最後にぜひ、「GT-R ロードスター」を実現してほしいと思う。ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなど、スーパースポーツはオープンボディもステータスのひとつだ。限定生産でいいので、日産が本気でつくったGT-Rのロードスターをみたい。

スーパースポーツ+オープンボディはステータスのひとつ。限定生産でいいので、日産が本気でつくったR35 GT-Rのロードスターをみたい!!

◆     ◆     ◆

 元車両開発エンジニアとしては、どれも実現には困難を極めるものばかりという認識はあるが、似たようなデザイン・内容のものばかりが並ぶ昨今のクルマをみていると、こうした遊び心がほしくなってしまう。限定でもいいので、何か実現できないものだろうか…!??

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。