マツダがクロスオーバーSUV商品群の拡充計画を発表してから約3年、ついに全ラインナップが揃うことになる。その最後を飾るのがCX-80だ。先日、日本仕様が初公開されたが、詳しい装備やスペック、価格などはいまだ不明。しかし、期待は膨らむばかりで、今回はCX-80の基本情報をお伝えするとともに、ライバルの3列シートSUVもあわせて紹介する。

文/木内一行、写真/トヨタ、マツダ、三菱

■「ついに日本仕様が公開されたマツダの新フラッグシップSUV」マツダ・CX-80

存在感のあるフロントマスクと豊か、かつ優美なデザインで、マツダの国内最上級SUVらしい品格や高級感を感じさせるエクステリア。Bピラーより前は基本的にCX-60と同じで、縦置きエンジンらしい長いボンネットフードが特徴的

 縦置きエンジンFRレイアウトのラージプラットフォームを用いた、マツダのラージ商品群。2022年にCX-60が第1弾としてデビューし、その後CX-90とCX-70を海外でリリース。

 そして第4弾として発表されたのがCX-80である。

 CX-80はCX-60のロングバージョンだが、実質的にはCX-8の後継モデルとなる。しかし、CX-8がFFベースなのに対し、こちらはFR ベース。ボディサイズも、全長/全幅は拡大されたが、全高は低くなった。ロングノーズも縦置きエンジンの特徴といえるだろう。

 デザインのコンセプトは「「Graceful Toughness」で、より豊かで優雅な存在感を放つ3列SUVを追求。存在感や力強さを感じさせるとともに、プレミアムSUVらしいエレガントさも備えている。

 室内はすべての乗員に配慮した空間で、2列目にはセンターコンソール付き/なしという2種のキャプテンシートのほか、3人乗りベンチシートをグレード別に設定。ユーザーニーズに合わせた選択が可能ということだ。

 そして、パワートレインは、3.3リッター直6ディーゼルの「SKYACTIV-D 3.3」、同ユニットにマイルドハイブリッドをドッキングした「e-SKYACTIV D 3.3」、プラグインハイブリッドの「e-SKYACTIV PHEV」という3種。駆動方式は4WDが基本で、一部グレードにはFRも用意される。

 国内におけるマツダのフラッグシップSUVとして今秋発売予定のCX-80。装備や価格などはまだ不明だが、今から楽しみでしかない。

■「伝統を継承し、モダンに進化したザ・オフローダー」トヨタ・ランドクルーザー250

 1951年の誕生以来、世界中で支持されてきたランクル。70年以上にも及ぶ歴史のなかでさまざまなバリエーションが生まれてきたが、中核車種のプラドの後継として登場したのが「250」シリーズだ。

 ライトデューティモデルの血を引くとはいえ、ランクルの本質は高い悪路走破性能だ。それを実現するのが、300シリーズと同じラダーフレーム構造のGA-Fプラットフォームと、マルチテレインセレクト/マルチテレインモニターといった最新のオフロード走行支援機能。

 さらに、EPS(電動パワーステアリング)ですっきりとしたステアフィールを実現し、トヨタブランド初採用のSDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)でオフロードでの悪路走破性や乗り心地とオンロードでの操縦安定性を両立した。

 エンジンは、2.8リッターディーゼルターボと2.7リッターガソリンの2種で、前者には8AT、後者には6ATが組み合わされる。

 ランクルのストロングポイントであるタフな走行性能を継承した250シリーズは、ルックスもひと目でランクルと分かるもの。存在感抜群のマスクや力強いフェンダーアーチ、シンプルなシルエットなどは、伝統とモダンを統合したデザインである。

 一方、インテリアは実用オフローダーらしい高い機能性を追求しつつ、乗員に安心感をもたらす空間を実現。基本は3列シート7人乗りで、一部グレードには2列5人乗りも設定。

 さまざまな使い方ができる大容量のラゲッジスペース、ドアを開けずに荷物の出し入れが可能なバックドアガラスハッチなど、利便性も申し分ない。

 日本が誇る伝統のブランドは、CX-80とはまったく異なるキャラクターだが、比較してみるのも面白いだろう。

■「自慢のPHEVシステムで爽快な走りと航続距離延長を実現」三菱・アウトランダー

ダイナミックシールドが与えられたフロントマスクや、シャープに彫り込まれたサイドのキャラクターラインが特徴的なエクステリア。ボディサイズは大きそうに見えるが実際はそれほどでもなく、全長は4710mmとなっている

 三菱がグローバルに展開しているクロスオーバーSUVがアウトランダー。日本では2021年にフルモデルチェンジし、現行はPHEV(プラグインハイブリッド)モデルのみのラインナップとなった。

 ファミリーフェイスのダイナミックシールドが与えられたエクステリアは、堂々とした佇まいや力強さなどを表現したもの。プラットフォームは新開発で、スリーサイズは先代よりもひと回り大きくなった。

 その存在感あるエクステリアに劣らず、インテリアも上質かつ先進的だ。水平基調のインパネは走行時の車体姿勢の変化を掴みやすくするためのデザインで、幅広のフロアコンソールがパーソナル感や高級感を表現。

 乗車定員はグレードによって異なり、ベーシックなMは5名、中間のGは5名と7名、最上級のPは7名となる。

 メカニズムも注目で、2.4リッター直4の4B12ユニットにツインモーターをドッキングしたPHEVシステムを採用。従来のシステムを大幅に改良したもので、前後モーターおよび駆動用バッテリーの出力を約40%高めることで、航続距離の延長とEVらしい加速感をアップ。

 さらに、アクセルを強く踏み込む際でも極力エンジンを始動せず、EV走行の維持が可能となった。

 駆動方式はツインモーター4WDで、車両運動統合制御システムのS-AWCはさらに進化。また、7つの走行モードを設定するドライブモードセレクターを採用し、あらゆる天候や環境において、安全かつ快適な走りを実現する。

 中古車市場では流通量こそ増えているものの、相場はまだ高値。とはいえ、新車のCX-80と比べれば割安感はあるので、一考の余地はあるだろう。

■「ブランドバリューでライバルをリードするプレミアムクロスオーバー」レクサス・RX(先代)

 LXを筆頭に、いくつものSUVをラインナップするレクサス。そのなかで、プレミアムクロスオーバーとして人気を集めるのがRXだ。2022年デビューの現行モデルは2列5人乗りのみだが、先代は3列7人乗りもラインナップされていたのだ。

 2015年に登場した先代RXは、従来よりもホイールベースを50mm延長してより伸びやかなプロポーションとし、レクサスのアイデンティティであるスピンドルグリルや、一部をブラックアウトしたクォーターピラーが特徴的。

 インテリアも、水平基調で広がりと一体感を強調しつつ、ワイドディスプレイやフルカラーのヘッドアップディスプレイで先進性を表現している。

  パワーユニットは、3.5リッターV6とモーターを組み合わせたハイブリッドと、2リッター直4ターボの2種だ。

 2017年にはロングバージョンのRX450hLを追加。ホイールベースは標準仕様と変わらないものの、ボディ後部を110m延長して全長は5mに到達。室内長は545mmも拡大された。

 追加された3列目は左右分割の電動格納/展開式で、専用エアコンも装備。さらに、1列目から3列目にかけて乗員の視点を高くするシアターレイアウトにより、閉塞感も軽減されている。

 また、2019年のマイナーチェンジでは2列目キャプテンシート仕様を用意するとともに、3列目に2種類のシートポジションを設定して乗員の快適性が高められた。

 ちなみに、中古車市場でも先代RXは豊富で、RX450hLも多くはないが300万円台から選ぶことが可能。人気のSUVで、なおかつレクサスのブランド力を考えると、お得感の高い物件も多い。

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