カーナビゲーションもドライブレコーダーもすべてが音声で扱える! そんな画期的な機能を備えた“オールインワン車載器”がパイオニア「NP1」だ。2022年3月に発売以来、進化を重ね、今やその機能は完成の領域に達したと言われる。NP1の最新情報をレポートする。

音声ナビという新機軸を打ち出したNP1は常に進化を続けている

本体にはスピーカーやカメラ、マイクがオールインワンで搭載されている

発売から2年半、そして筆者がNP1を使い始めて早くも1年が過ぎた。これまでいろんなカーナビを使ってきたが、それらはディスプレイ上に地図を表示して音声と共にルートを案内するのが基本的なスタイルだった。しかし、その確認にはディスプレイに視線移動する必要があったわけで、これが音声だけで確認できればその必要はなくなり、安心・安全にもつながる。NP1はそうした開発者の想いを形にした初の車載器として誕生している。

NP1本体は一般的なドライブレコーダーと比べると若干大きいサイズ(横118mm×縦36mm)。前後2つのカメラを備え、これがドライブレコーダーとしての役割を果たす。カーナビとして必要となる目的地検索やルート案内を実現するためにマイクやスピーカー、GPSと6軸モーションセンサーも内蔵し、基本的にはこれだけで完結。カーナビには欠かせなかったディスプレイは備えない。この本体をフロントウインドウの上部に取り付け、あとは電源を取るだけという簡便さが特徴となっていて、そのため取付車種を選ばずにどんな車にも対応している。

NP1はフロントカメラ+インカメラ、オプションでリアカメラも増設可能となっている

そのNP1が持つ最大のポイントは、これらの機能すべてに通信を活用していることにある。目的地設定でもユーザーは行きたい場所を音声でNP1に伝えるだけ。たとえば「NP1、○○へ行きたい」と告げると、NP1は「直線距離で○km先に○○が見つかりました。ここへ行きますか?」と返してくる。ここで「はい」と答えれば目的地までのルートが探索されて案内がスタートする。基本操作はこれだけ。今までのカーナビのようにメニューを開いて、ジャンルやエリアでの絞り込みをする必要はない。だから誰でもすぐに使える。

もちろん、通信を使っているから、検索対象となる情報は常に最新。オープンしたばかりの施設も目的地として設定できる。オフラインで使うカーナビはこれができなかったばかりに、目的地探しで苦労することもあったが、NP1においてはそんな心配は一切なし。この使い心地は一度使ったら後戻りできない快適さを実感するはずだ。

ルート案内中に提供される音声ガイドも秀逸だ。NP1はまるで助手席にナビゲーターが乗っているかのように、分岐点までの所要時間や進行方向などを親切かつ適切に案内する。もちろん、このルートにはリアルタイムの交通情報が反映され、そこにはカロッツェリアで培った渋滞回避能力が発揮されているのは言うまでもない。

しかも、このNP1はユーザーのリクエストにもきちんと応えてくれる。たとえば、「このルートは合っているのか?」「走行中の道路は何か?」「次の曲がるポイントまでどのぐらいに距離か?」など、これらの疑問にも音声で訊ねれば即座に答えてくれるのだ。

専用アプリを使って、ディスプレイオーディオでの地図表示対応も!

ディスプレイオーディオにNP1の地図アプリを表示することが出来る

とはいえ、やはり地図上で案内されないと心許ない、と感じる人もいるはずだ。NP1はそうした声にも当初より対応していた。それは専用アプリ「My NP1」をインストールしたスマートフォンと連携することで、地図によるルート案内も機能するというもの。これによって、NP1の詳細な音声ガイドと合わせ、よりわかりやすいルート案内が受けられるのだ。

さらに昨年秋のアップデートでは「Apple CarPlay」「Android Auto」にも対応を果たし、この結果、ディスプレイオーディオからでもルート案内をはじめ、NP1の様々な設定が可能となった。見逃せないのは、ここで再現される地図がカロッツェリアのナビで見慣れたデザインとなっていることだ。そのため、見た目にはほぼカーナビに近い状態となり、これはユーザーの大きな安心にもつながっている。

NP1はドライブレコーダー+αの機能で愛車を守ってくれる

NP1の初取材と同じ場所へ2年半の時を経て進化を確かめに行った

ここまでカーナビとしてのNP1を紹介してきたが、ここからはNP1のドライブレコーダーとしての機能を紹介したい。ここでもNP1は通信をフル活用し、ドライブレコーダーとしてかつてない多彩な機能を発揮している。

多くのドライブレコーダーは通信機能を備えず、本体だけで完結しているため、走行中の動画映像をはじめ、駐車監視に対応していたとしても、その状況はドライブレコーダー本体に記録されるだけだ。

遠隔操作でフロントカメラとインカメラを切り替えることが可能。合わせて警告を発することも出来る

それに対し、NP1では走行中や駐車中に衝撃を受けると、その時の動画映像を自動的にクラウドへアップロードし、同時にMyNP1アプリの入った端末へその保存を通知する。これにより、仮に事故などを起こして動揺している時でも確実にその映像を残しておけるし、駐車中のアクシデントにも離れた場所からすぐにその発生を知ることができる。これによって迅速なトラブルの解決につなげられるのだ。

もちろん、一般的なドラレコと同じように気に入ったシーンを動画や静止画で残せる。そこでもNP1は画期的なシステムを採用した。それは音声による操作だ。撮影したシーンに遭遇したら、音声で「動画を撮って」「写真撮って」と告げるだけ。NP1はすぐに反応して映像を記録する。ステアリングから手を放さず、前方に視線を向けたまま撮影できるのは安全上の観点でも好ましい対応と言える。

そして、駐車監視の決定版とも言える機能が「マイカーウォッチ」と呼ばれる機能だ。これはクルマから離れた場所にいても、スマートフォンで車内/外の様子を確認できるというもので、これも通信ができるNP1ならではの機能となっている。しかもNP1に内蔵する車内側のカメラは赤外線機能付きとしたことで、夜間でも“犯人”を鮮明な映像で記録できるのだ。

ただ、この機能だけを捉えれば、駐車監視機能付きドライブレコーダーならすでに搭載済みの機能でもある。NP1ではこの状況を映像記録するだけでなく、スマホを通じて盗もうとしている人に対して音声によって威嚇できるのだ。メッセージは定型ではあるものの、車内からかなりの音量で「カメラ作動中。異常状態を確認し、通報しました。遠隔監視を行っています」と警告。これが最大5分間にわたって繰り返されるのだ(利用は1回5分で、月に計60分まで)。

さらに、スマートフォンのアプリ上には車両の現在地も表示され、仮に車両が盗まれて移動したとしてもその位置はリアルタイムで把握できるようになっている。この情報を警察に通報すれば、事件のスムーズな解決につながるのは間違いない。まさにドライブレコーダーとしても究極の機能を搭載したのがNP1なのだ。
※マイカーウォッチ機能のご利用には、駐車監視用電源ケーブルNP-BD001(別売)が必要です。

docomo in Car Connectを契約していれば最大5台までWi-Fi接続が可能となる

そして、NP1は車内エンタテイメントを盛り上げるうれしい機能も搭載している。それが「docomo in Car Connect」への対応だ。この契約によって車内にNTTドコモのLTE回線によるWi-Fi環境をもたらし、最大5台までの端末を接続できる。これで接続したスマートフォンやゲーム機などが車内で使い放題となるのだ。NP1なら新たに機材を購入せずともこのサービスに対応でき、これもNP1ならではの大きなメリットと言えるだろう。

ちなみにこの契約は有償プランとなるが、用途に応じて1日500円/30日1650円/365日1万3200円の3つのプランから選べるのも嬉しいところ。もっともお得なのは365日プランだが、それは毎日の様にクルマを使うとか、出掛けた先でオンライン会議を行うならこれがベスト。休日のドライブや帰省などでしか使わないというなら1日/30日プランを上手に組み合わせて使えば、年間の支出を抑えることができると思う。

進化を続けるNP1だからこそ未来の機能に大きな期待が持てる

NP1のアプリには旅行に便利な情報や、取り締まり、オービス情報も搭載されている

最後にこれらを集約するNP1の魅力をもう一つお伝えしておく。それは携帯電話などと同様“OTA(Over The Air)”によるアップデートが常に行われ、日々進化を続けていることだ。すでに2022年5月にはAmazon の音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」に対応しており、これを使うことでニュースの読み上げなど、アレクサで設定しているお好みのスキルを操作することができる。この機能を使えば、「アレクサ。○○の音楽をかけて」と発話するだけで、聞きたい楽曲がすぐに再生されるのだ。

先に紹介した「Apple CarPlay」「Android Auto」もこのアップデートで対応を果たしたものだし、他にもNP1で使われる音声を声優の声に「コエ替え」や、オービス設置ポイント、取締り情報の通知機能、るるぶ、いこーよなど情報サイトと連携したお出かけスポットの提案など、通信機能を持つことでこうした進化を日頃から実感できるのだ。

パイオニアによれば、NP1はこれからもさらなる魅力度アップのために様々なアップデートを予定しているという。こうした様々な機能を携えていながら、その価格は少し高めのドライブレコーダー並みに収められている。もはやコストパフォーマンスの上からも右に出るものはないと言っても過言ではないだろう。

NP1を使い続けて進化の過程を熟知している会田氏

さて、クルマをスタートさせてNP1から真っ先に案内されるのが、その日の気温と天気の動向だ。この1年間、これを聞くことでその日が始まることを筆者は実感してきた。これまでもNP1を使って様々なところへドライブしたし、幸いクルマが盗まれるような被害には遭っていないが、初めての場所でクルマを駐めた時の安心感はNP1がもたらしてくれた。もはやNP1は日々の生活を過ごす相棒として、筆者の生活にすっかり馴染んでくれているのは間違いなさそうだ。

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