1982年に三菱から登場したスペシャリティスポーツクーペのスタリオン。前年のジュネーブショーで世界初公開となったもので、ほぼそのスタイルのまま1982年5月に発売を開始したもの。ギャラン系のプラットフォームを流用したモデルとなっていたが、北米市場を意識した力強いデザインが特徴的な1台となっていた。
文/小鮒康一:写真/三菱
■時代を経てワイド&大排気量へと変貌したスタリオン
デビュー当初は5ナンバーサイズのナローボディに2Lエンジンという組み合わせだったスタリオン。エンジンは自然吸気版を搭載するGXと、ターボエンジンを搭載したGSR系に分けられ、ターボモデルには4輪独立サスペンションがおごられていた。
エクステリアデザインは直線基調のウェッジシェイプなものとなっており、リトラクタブルヘッドライトを採用したフロントマスクはきつくスラントしたもので、ポルシェ924に匹敵するCd値を持っているとされていたのだった。
当初は145PSでスタートしたターボモデルも、1983年7月に日本車として初の空冷式インタークーラーを装着し、175PSまで出力を高めたモデルが追加され、1984年6月にはこちらも日本初の可変バルブ機構を備え、200PSを発生するシリウスDASH3×2エンジンを搭載したGSR-Vを追加するなど着実にパワーアップ。
さらに1987年2月には輸出向けに存在していたワイドボディとGSR-Vのエンジンを組み合わせた限定車のGSR-VRを発売。このモデルはナローボディよりも50mmもワイドなブリスターフェンダーを備えたもので、より迫力のあるスタイルを実現していたのだった。
そして1988年4月には限定車で採用されたワイドボディに2.6Lターボエンジンを搭載した2600GSR-VRが登場。このタイミングでグレードが整理され、2600GSR-VRのみのラインナップに変更されている。
この時点ですでにモデル末期となっていたスタリオンだったが、その迫力のスタイルはまだまだ一線級で、1989年4月には刑事ドラマの「ゴリラ・警視庁捜査第8班」の劇用車としてチョイスされ、ガルウィング化がなされ、のちに5台が市販されている。
どちらかというとアメリカ的な要素を持ったスタリオンだったが、実はツーリングカーレースやラリーでも活躍を見せており、1983年にはWRCのグループBに参戦すべくスタリオン4WDラリーも発表されている。
このモデルは車名の通り4WD化がなされているだけでなく、リトラクタブルヘッドライトを持つフロントオーバーハングを切り詰め、丸形4灯ヘッドライトに変更されるなど、一見するとスタリオンとは別車種のようなスタイルとなっているのが特徴で、現在も三菱の岡崎工場にレプリカモデルが展示されているのだ。
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