D1グランプリといえばドリフト競技のパイオニアでもあり、世界的にドリフトを知らしめた競技としても有名だ。そんなD1、さまざまなマシンが参戦するが実はディーラーメカニックが現場で作業をするチームがある。ウエインズトヨタ神奈川の取り組みに迫る!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:塩川雅人(ベストカーWeb)

■圧倒的なマシンの性能に度肝を抜かれる

1000馬力の2JZの迫力がすごい

 モータースポーツの世界は広い。国内でいえばスーパーGT、スーパーフォーミュラというトップカテゴリーをはじめ、参加型レースのヤリスカップや、全日本ラリー、ジムカーナ、ダートトライアルなど、多くのカテゴリーがある。

 そのなかでもベストカーWebではあまり取り上げないD1というカテゴリーがある。読んで字のごとく、ドリフト競技のカテゴリーであり、国内外のドリフト競技のパイオニア的存在だ。

惚れ惚れするエンジンルーム。見ているだけでご飯3杯はいける

 そんなD1だが、とにかくマシンの迫力が半端ない。今回取材した「俺だっ! レーシング」の90スープラには2JZ-GTEが搭載される。いまでも耐久性、そして怒涛のパワーを考えれば直6の名機2JZが選択されるのは当然の流れ。1000psのパワーはさすが。

 山中真生(やまなか・まお)選手が駆るマシンを見ていると耳元でエギゾーストから排出される2JZの生き生きとした咆哮が聞こえ、そしてタイヤスモークと匂いが身を包む。本当に五感をくすぐるカテゴリーだなと感じる。

■メンテナンスは現役ディーラーメカニックが担当

3人のディーラメカニックがエビスは担当した

 今回は福島県のエビスサーキットのラウンドにお邪魔したが、なんと「俺だっ! レーシング」のスープラには専属のメカニックに加えてウエインズトヨタ神奈川のディーラーのメカニックも3人参加している。

 もちろん参加は希望制だが、174の店舗、そして社員数3902人を誇るウエインズトヨタ神奈川だけあって「誰でもどうぞ」というわけではない。それもあってか参加者のモチベーションは高かった。

 この手の活動になると「会社の方針でやっているんです」という参加者も少なくはない。取材に誘われて現場に行くと「なんか話が違うじゃん!!!」というケースもある。ただ今回は違った。

 富本さん、青木さん、吹野さんの3人のディーラーメカニックの皆さんに取材したが、それぞれ異なる店舗で勤務する3人の連携もバッチリ。いい意味でメリハリがはっきりしている。

富本さんは沖縄出身。若いながらも作業は確実

 なかでも富本さんは入社2年目。なんと沖縄からウエインズトヨタ神奈川に入社したという。

「D1をやっていると聞いていてずっと気になっていたんです。沖縄から出て世界を知りたいという思いもあったので、意を決して神奈川に就職しました。冬が心配でしたがまだダウンジャケットも持っていないんですけどね(笑)」。

 青木さん、吹野さんはトヨタ検定1級の中堅整備士。2年目の富本さんに的確に指示を出しながら、和やかに作業が進む。この辺りは店舗の様子が伺える。

■表彰台まであと一歩だったが

山中選手の走りはかなり成熟してきた。クラッシュもあったものの成長著しい

 マシンは好調で、路面も雨がぱらつくシーンもあったが基本的にはドライ。単走11位で決勝進出した山中選手は追走でトップ4に残る。

 中村直樹選手との追走で後追いはかなり迫る走りを見せた。その走りにベテランの中村選手のハートに火がついたのか、続く先行ではベタベタに迫られてしまった。

 これは仕方ない!! というレベルの中村選手の激走だったが、山中選手の頑張りは4位という結果をもたらした。

 ディーラーメカニックの3人は口を揃えてこう言う。

サーキットでも店舗でも整備士としての気持ちに変化はない。安心、安全が第一

「いつも店舗ではお客さまの安全や安心が第一。サーキットの現場にいてもそれは同じで、ドライバーの山中選手が安心して走れるようにするだけです。サーキットだから、お店だから、という認識はあまりないんです」。

 1000馬力のD1マシンも市販のクルマもその整備への思いは変わらない。山中選手の成長も楽しみだが、こんなレベルのマシンを整備しているメカニックがいるウエインズトヨタ神奈川のお店に訪れるのも楽しみではないだろうか?

 ぜひこの取り組みが多くの人に伝わると嬉しい!!

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