カルロス・ゴーン氏の一件から、大規模な構造改革が行われた日産。現在の内田誠社長体制になってからはや5年。ホンダとの新たな連携も決まった日産なのだが、実は昨今の業績は芳しいとは言えない状態が続いていた!? そこで決算データや販売状況を見ていき、同時に日産の未来について予測評価してみた!!

※本稿は2024年8月のものです
文:佃 義夫、国沢光宏、西村直人/写真:ベストカー編集部、日産
初出:『ベストカー』2024年9月26日号

■現在の方針から見た日産の5年後の経営状況

決算報告会で販売計画未達について、株主に謝罪した内田社長。立て直しを図る

 日産自動車の現状の業績状況を見ると、ゴーン後の構造改革が進んだかに見えたがまたも業績が急失速。2024年4〜6月の第1四半期連結決算の営業利益が前年同期比99%減の9億9500万円に落ち込んだ。これを受けて2025年3月期通期見通しを下方修正し、増益予想から一転して減益の見通しとなった。

 日産の業績不振の最大要因は米国販売の低下で、トヨタやホンダがHEVで好調な販売を示したのと明暗を分けたのだ。2019年12月に社長に就任した内田体制も5年目となる中で、昨年2023年に仏ルノーとの資本関係が長年のルノー43%出資の支配から15%相互出資の対等に切り替わって新たな提携も模索する。

 だが、2026年度までの新中期経営計画で電動化推進を中核に据えて、2030年度までに34車種の電動車両導入と、新中計での3カ年で100万台増加目標も、米販売不振に加えて中国事業大苦戦で厳しい。

 加えてホンダとの車両相互補完まで踏み込んでの「新連合」が、「ルノー連合」と融合するのか未知数だ。本格的な大雨に見舞われるか「大化け」するか読み切れない。

(佃 義夫 佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆)

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■面白そうな市販車が出てくる期待値

現状e-POWER頼りの日産。次なる一手と、デザインの進化に期待したい

 日産は2026年までに100万台の販売増を目指す中期経営計画を発表したものの、内容は業界を震撼させるほど楽天的だった。さらに2024年上四半期(4月~6月)の営業利益は昨年の同じ時期の99%減。

 なんとか赤字を避けようとした数字であり、実質赤字と考えていいだろう。したがって今後5年で現在の状況をひっくり返すような魅力的&売れる新型車を出さなければならない。

 直近のニーズで言えばアメリカ市場向けの「燃費のいいハイブリッド」だけれど、高速巡航燃費の悪いe-POWERじゃ難しい。直結モードを持つ「e-POWER II」みたいなものが必要だ。

 日産も危機感を持っているのだろう。新型車を次々に投入することを発表しているものの、漏れ伝え聞くところによれば、デザイン面で課題がありそうだ。

 販売台数激減で待ったなしの中国市場向けモデルも、北京ショーで発表された「間もなく発売のモデル」を見たら「う~ん」。少なくともエンジン搭載車に関して言えば、8メーカーの中で最も厳しいと考えていいだろう。

●期待値:40/100 こと国内のモデル戦略となると、厳しめの評価をせざるを得ない。

(国沢光宏)

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■将来的に気になる! 5年後に登場しそうな現在開発中の新技術

公開されたグラウンド・トゥルース・パーセプション技術のテスト風景

 ホンダ&三菱とのパートナーシップでは、SDV化のプラットフォームのうち基礎的要素技術の共同研究に調印したが、日産への期待は430セド/グロ時代の「ボイスコンパニオン」(世界初)から続く独自HMI(※1)。加えてグラウンド・トゥルース・パーセプション(※2)技術も実装?

(西村直人)

※1:HMI……ヒューマン・マシン・インターフェースの略

※2:グラウンド・トゥルース・パーセプション……技術物体の形状や距離などを高精度で認識できる次世代高性能ライダーとカメラ、およびレーダーからの情報を組み合わせ、周囲の空間と物体の形状を優れた正確性でとらえ、その変化をリアルタイムに把握する技術

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