未だに根強い人気のあるAE86やトヨタが現在発売しているGR86など、この車種の人気は留まることを知らない。どれも良すぎて選び難いが、「どの世代」が印象的かを自動車評論家の皆さまに伺った。みなさんは、TE27に始まったレビン/トレノからGR86までの9世代ならどれがナンバーワン?
※本稿は2024年8月のものです
文:片岡英明、岡本幸一郎、清水草一/写真:トヨタ ほか
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
■AE86はもはや神話の世界
TE27に始まったレビン/トレノ時代と、2021年に登場したGR86までの9世代が対象。歴代1位はAE86レビン/トレノとなった。
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■AE86を1位にした理由:清水草一
そりゃもう「ハチロク」と言えばAE86だから! 素材としてあまりにも素晴らしかった。素材がシンプルだったからこそ、いろいろイジることができたわけで、それがひとつの文化を作ったわけじゃないですか。
全世界的なヒットになった『頭文字D』も、AE86という素材あってこそ成立した。AE86は『巨人の星』の星飛雄馬でもあったわけだ。ダビデが巨人ゴリアテを倒すという、もはや神話の世界。そのほかのモデルは、AE86の後光を受けて輝いていると言っていいんじゃないかな!
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■AE86を1位にした理由:岡本幸一郎
現行世代が「あのクルマのようになりたい」と車名まで拝借したくらいの存在だもんね。人気、実力とも歴代ナンバーワンだ。
実は、中身は先代TE71のシャシーを流用して、2T-Gから4A-Gにエンジンを載せ替えて、デザインを変えたにすぎない。冷蔵庫の残り物で料理を作ったようなクルマだけど、それが実に美味しかった。
結果的に、FRの醍醐味をこんなに手軽によい形で味わわせてくれたクルマはないほどの存在になった。
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■意外な気がする? AE111を1位にした理由:片岡英明
AE111系はレビン/トレノの最終進化系で、究極のライトウェイトFFスポーツだ。AE101より70kgもの軽量化を達成し、パワステも走りの楽しさにこだわった設定だから操る楽しさは格別。スーパーストラットサスに加え、駆動効率を高めるヘリカルLSDも装備して正確なハンドリングを実現している。
4A-GE型DOHCは5バルブに加え、VVTに2ウェイエキゾーストコントロールだから、回すのが楽しい。ダイレクト感たっぷりで、コントロールしやすいブレーキも、高く評価できるポイントのひとつだ。
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■初代TE27を2位と高く評価した理由:岡本幸一郎
乗ったことはないけど、子ども心に「レビン/トレノは凄い!」と刷り込まれたのがTE27だから。
もとが大衆車でも、太いタイヤを履かせてオーバーフェンダーを付けた姿がかっこよくて、タダモノではない雰囲気を漂わせていた。
走りも、セリカにも搭載した1.6L・DOHCエンジンをセリカよりずっと軽い車体に積んでいたから、言わずもがな。当時、ゼロヨンのタイムや最高速の数字を見て、こんなに速いんだ! と思った記憶がある。
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■復活86の初代(3位)が現行(4位)より上の理由:片岡英明
ここは大いに迷ったところだ。第2世代のGR86は排気量を2.4Lに拡大し、パンチのある高回転の楽しさをキープしたまま扱いやすいエンジン特性も手に入れた。ボディ剛性も高めているから、FRスポーツクーペとして操る楽しさはピカイチである。
トータルではGR86のほうが高得点だ。初代86は欠点も多く、荒削りでジャジャ馬なところも見られる。だが、理屈抜きにステアリングを握って楽しめるのがいいところだ。また、脚などをイジって走りの特性を自分好みに変えられる余地が大きいのも魅力である。
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■復活した86(5位)よりも、かつてのTE71(3位)を上位とした理由:岡本幸一郎
TE71も軽くて俊敏で、AE86に匹敵するくらい楽しいクルマだった。ここは、新世代を上にすべきか確かに迷ったんだけど、個人的にずっとひっかかっているのは、トヨタオリジナルではないことだ。
トヨタの体力ならイチからオリジナルで作ればいいのにと思っているのは筆者だけじゃない。エンジンだって、ちょっと特殊な水平対向よりも実績豊富でイジりやすい直4がよかったよね。
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