会社社長やプロスポーツ選手などが税金対策で自動車購入をしている。さらにデキる社長たちは、あえて中古の高級車を探すというのだが、これは一体なぜなのか。自動車をつかった基本的な節税の仕組みから、デキる社長が中古車を選ぶ理由まで、クルマと節税について解説していこう。

文:佐々木 亘/写真:トヨタ、レクサス、AdobeStock(トップ画像=naka@AdobeStock)

■クルマを買うのがどうして節税になるのか

会社経営者などが通勤や業務中の移動に使うクルマの購入代金は「経費」として申告ができる(78art@AdobeStock)

 まずは簡単に、自動車購入がなぜ節税になるのかを説明していく。

 大なり小なり、何か事業をしていて、青色確定申告を行ったことがある人ならわかるだろう。確定申告は、自分の所得を国に対して明らかにする行為。その所得金額に応じて、翌年に課される税金が決まるのだ。

 ざっくりと話をすると、「売上総額」から「経費」や「控除」を引いたものが「所得」になる。控除の金額は、ほとんど毎年決まっているから、事業主は経費をできるだけ大きくして、所得を小さくした方が、翌年の課税額が少なくなるというカラクリだ。

 では、自動車がなぜ経費になるのだろうか。経費として認められるかどうかは、事業の内容や車種によって変わってくるが、今回は、有名人の場合を例に説明していこう。

 プロスポーツ選手や芸能人など、顔が多くの人に知られている人の場合、仕事場への移動に公共交通機関を使うことは憚られる。そこで、仕事のための移動に使うモノとしてクルマを購入するのだ。つまり、クルマは仕事を円滑に行うために必要なものであり、これを「必要経費」と考えることができる。

 社長が、通勤や業務中の移動に使う名目のクルマも、同様の理由から必要経費となるのだ。個人事業主の場合は、プライベートで使う割合と仕事で使う割合を出して、その割合分だけ経費にすることもできる。(※詳しくは税理士に相談を)

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■購入代金を一気に引けない!? ちょっと難しい減価償却とは

スポーツ選手や有名人など、セレブ御用達として知られるトヨタ アルファード。もちろん会社経営者にも使用する人は多い

 会社や個人事業主本人のクルマは、会計上の「資産」だ。大きな金額で購入した資産は、減価償却といって一定割合ずつ価値が目減りすることになっている。この目減りした価値が、先に説明した「経費」に該当するわけだ。

 減価償却の期間は、資産ごとに決まっている。自動車の場合、新車で6年間だ。大雑把に考えると、新車の購入代金の6分の1ずつを、毎年の経費にできるということ。実際は細かい計算があり、初めの方が償却される金額は大きくなる。

 また、会社の資産にして償却できるクルマは、なんでもいいわけではない。事業の際の移動手段として使うクルマは、移動手段として適切な車種選定が求められるのだ。

 例えば、2シーターのスーパーカーは、移動手段として税務署に認められにくい。「このクルマじゃ移動しにくいよね」とツッコまれるクルマでは、必要経費として扱うのは難しいことが多いということ。

 税務署に認められやすいのは、セダン、ミニバン、SUVといった無難なクルマだ。なので、レクサス LSやメルセデス Gクラス、アルファードに乗る有名人や社長が多くいるのである。

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■できる社長は4年落ちのLSを買う?

ディーラー営業マン時代の筆者の顧客に、中古で4年落ちのレクサス LSを買いに来る会社社長がいたという

 金融マンから自動車ディーラーの営業マンに転身した筆者。中古で4年落ちのLSを買いに来る会社社長とは、よく金融談議に花が咲いていた。4年落ちのLSを買いに来る人は、節税についてよく知っている人だからだ。

 一体どういうことか。先ほどの償却(つまり1年で落とせる経費)の話に戻るとしよう。

 中古車の場合、減価償却の年数は初度登録からの経過年数によって決められている。1年落ちで5年、2年落ちで4年、3年落ちで3年となり、4年落ち以上では2年間となるのだ。

 勘のいい方は、ココで気づいたはず。600万円で新車のアルファードを買うよりも、4年落ちのLSやメルセデスSクラスを600万円で買う方が、1年間の償却額(つまり経費)が大きくなるのである。

 600万円の新車の場合、6年間の償却期間が定められるから、単純計算で年100万円ずつが経費になる。対して600万円の4年落ち中古車なら、2年で償却完了となるので、年間300万円が経費になるのだ。(※実際の減価償却の計算方法とは異なるので悪しからず)

 営業マン当時感じていたのは、これを知っていて意図的に高い中古車を買い求める社長には切れ者が多いということ。会社社長と話をする機会があって、「うちのクルマは恥ずかしながら中古だよ」なんていうフレーズが出てきたら、相当やり手な社長さんなのである。

 昨今では新車の納期が長く、中古車の商品数も少ない。一般消費者同様に、クルマで節税を考える事業主にとっても、厳しい市場環境は続いていきそうだ。

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