ホンダ シティの試乗レポートをお届けする。シティというと「ホンダホンダホンダホンダ……」のCMを思い浮かべるが、今回のシティはアレとは違う。海外専売車として名前が受け継がれたシティに初設定されたRSへの試乗だ!!

※本稿は2024年9月のものです
文:三木宏章/写真:三木宏章、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年10月10日号

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■2代目で幕を下ろしたシティの歴史。しかし……

海外専売車として名前が残っていたホンダ シティ。現行型となる7代目で初のRSグレードが設定された

 ホンダのシティと聞くと、1980年代に若者を虜にしたボーイズレーサー『シティ ターボ』を連想する読者も多いだろう。

 しかし、今回紹介するのはタイを中心にマレーシアやシンガポールなど、世界60以上の国と地域で販売されている、ホンダの4ドアコンパクトセダン&ハッチバックの『シティ』。いわゆる新興国向けのグローバルモデルである。

 ホンダの初代シティは1981年にデビューし、少し背の高い角張ったボディと、荷室に折りたたんで載せられる50ccバイク『モトコンポ』が同時発売された、遊び心満載のコンパクトハッチだった。

 1982年には、ターボエンジンで武装し100psを発揮する『シティターボ』、さらに翌年には“ブルドック”の愛称でも親しまれ、110psにパワーアップした『シティターボII』を発売。その後、1986年に2代目が登場したが、ターボモデルは設定されず、1995年に販売終了となり、その歴史に幕を閉じた。

 だが、翌1996年に日本未導入の新興国向けモデルとして車名が復活。

 ただ、3代目はシビックフェリオをベースに、4代目以降はフィットをベースにしたコンパクトセダンとなり、名前こそ残ったが別のクルマとなった。ちなみに6代目シティは『グレイス』という車名で日本でも販売されていたので、ご存知の読者もいるだろう。

 2020年に投入された現行モデルの7代目は、グッとスポーティなスタイルとなり、パワートレーンにはハイブリッドのほか、VTECターボも設定。

 そして4ドアセダンのみだった先代までとは違い、5ドアハッチバックも用意。さらにシティでは初となるRSグレードを設定するなど、往年の名車シティターボを思い起こさせるようなホットハッチとなったのだ。

 2024年にはマイナーチェンジが実施され、非常に気になっていたのだが、やっとタイで試乗する機会を得た。そこで今回は、シティハッチバックの最上位グレードに位置するRSの試乗記をお届けする。

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■新生シティターボの乗り味は?

最高出力は控えめだが軽量ボディで軽快な走りが楽しめるホンダ シティRS

 まず外観は、LEDヘッドライトとハニカム状のグリルに加え、各部をグラックアウトした精悍なフロントフェイスが印象的だ。サイズ的には、フィット以上、シビック以下といった位置づけになる。

 そしてパワーユニットは、1.5L直列4気筒ハイブリッドのe:HEVと、1L直列3気筒VTECターボの2本立て。今回は、VTECターボに試乗した。

 最高出力は122psと控えめだが、低回転域から立ち上がるブーストと、1187kgという軽量ボディの相乗効果で軽快そのもの!

 スポーティな味付けが好まれるタイのお国柄か、はたまた街中でも攻めた運転を強いられる交通事情に合わせてか、足まわりもかなり引き締められてキビキビと走る。タイトな峠を走ったら楽しそうだ。

 絶対的な速さこそないが、想像どおり個人的に超好みの乗り味! CVTのみというのが残念だが、ぜひ日本導入してもらいたい1台だ。

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■シティでは初のRSグレードを設定

 現行モデルで7代目になるシティだが、RSグレードが設定されたのは初。

 タイではスポーティグレードの人気が高く、シティやシビック、アコードのほか、SUVのCR-VやWR-V、HR-Vなど、現地販売車両の多くでRSグレードが設定されている。シティの場合、エアロなどの外装面がRSグレード専用になっている。

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