「オプカン女子」といえば、トーヨータイヤの人気オフロードタイヤ「オープンカントリー」推しの女性たちのこと。2024年3月には、そのオプカン女子を対象に工場見学イベントも行われたのだが、そこに男性オプカンファンが反応した。「俺たちもオプカン製造の現場が見たい!」 この熱気にトーヨータイヤが応えて待望のイベントが開かれた。題して「俺の#オプカン~仙台場所」! こいつがスゴかった!

文:ベストカーWeb編集部/写真:小林岳夫、トーヨータイヤ

■オプカンの聖地に今度はオトコが集まった!

姫路市から920kmも走って仙台工場にきたというOGAWAさんの20インチリフトアップデリカ。オプカンM/Tのサイズはまさかの40インチ!!

 2024年10月19日、午前11時。宮城県岩沼市にあるトーヨータイヤの仙台工場駐車場に、オプカンを履いたクルマたちが続々と集まってきた。中には40インチというお化けサイズを履くモンスターデリカもいるが、皆さんすべて「俺の#オプカン~仙台場所」に参加するゲストたちだ。

 イベント名称からして、体育会男子系の硬派な会をイメージしたが、実際はそうじゃなかった。奥様やご家族といっしょに参加される方もいて、実に和気あいあいとしている。

 舞台となった仙台工場は、世界中で流通するオープンカントリーの生産を一手に担う、ファンにとっては聖地のような場所。東京ドーム5個分という敷地でおよそ1500名が働き、オプカンはもちろん、乗用車用やライトトラック用タイヤを年間1000万本も生産しているという。

 おいしい牛タン弁当をいただいてイベントがスタート。まずはオプカンの歴史を振り返った。

 もともと中近東やオーストラリア向けタイヤとしてスタートしたオプカンは、2024年でデビュー41周年を迎えたとのこと。

 その後はアメリカのカスタマイズ需要などの波に乗って販売エリアが拡大した。同国のカスタムカーのお祭りSEMAショーでは、装着タイヤのシェアナンバー1を獲得するほどの人気者。カリフォルニアで行われるオフロードレース「バハ1000」でも総合優勝を果たすなど、性能面でも文句なしだ。

その後、仙台工場の概要をうかがうと、いよいよお待ちかねの工場見学の時間だ。

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■オプカンの製造現場をナマで目撃!

オプカンの製造現場に潜入。完成までの過程を事細かに見学できた

仙台工場のタイヤの生産工程は大きく分けると「混合」「カレンダー・押出・裁断」「成型」「加硫」「仕上げ・検査」という5つになるという。実際に製造の現場をのぞいてみると、素人目には「ゴムの塊」に見えるタイヤが、多くの素材と複雑な工程で製品になっていることがよく分かった。

なかでも圧巻だったのが、グリーンタイヤという「生状態」のタイヤを、熱と圧力で最終形状に仕上げる「加硫」工程。巨大な釜が開いてアツアツのタイヤが生まれてくる様子は、タイヤに命が吹き込まれる瞬間を見るようで感動ものだった。

オプカンファンとしては気になる、ホワイトレターの生産工程も見学した。

サイドウォールに耀くあの白い文字は、決してタイヤを塗っているわけではない。予めサイドウォールに円環状の白い材料を埋め込んでおき、最後に文字部分だけ表面の黒いゴムを削って、浮き上がらせるのだ。すり減っても消えないホワイトレターの理由がよく分かった。

最後に見学したのが、トーヨータイヤの次世代タイヤ製造技術として注目される「A.T.O.M.(アドバンスド・タイヤ・オペレーション・モジュール)」の現場。

従来のタイヤは、平たいゴム板を丸めるので、円周のどこかに「貼り合わせ」部分が発生する。この貼り合わせは、タイヤの回転バランスに悪影響を与えるため、できればないほうがいい。

そこでA.T.O.M.では、リボンと呼ばれる幅15mmほどのゴムを、成型ドラム上に並ぶようぐるぐると巻き付け、必要な幅でカットするという製法を取る。これなら貼り合わせができないから、タイヤの均一性が飛躍的に向上するのだ。

他にもメリットがある。材料工程と成型工程が融合できるから、生産設備が圧倒的に小さくできる。さらに生産に関わるリードタイムも従来の5分の1に短縮できるのだそうだ。タイヤはまだまだ進化するのだなあと感じた。

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■ドリフトドライバーの川畑真人選手が登場!

トーヨータイヤのブランドアンバサダーを務める川畑真人さん。ドリフトドライバーでありながら2024年アジアクロスカントリーラリーではクラス優勝を勝ち取った

興奮を抱えて集会室に戻ったら、今度はゲストによるトークショーが待っていた。

最初に登場したのは、トーヨータイヤのブランドアンバサダーであり、ドリフトやアジアクロスカントリーラリー(AXCR)ドライバーとしても知られる川畑真人さんだ。

川畑さんは今年8月、「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」のドライバーとして参加したAXCRの参戦報告を行った。

ドリフトドライバーだけあって、川畑さんはタイヤが滑ることが怖くないといい、これを武器にAXCRでも「最初に向きを換えてアクセルを早く開ける」走りを心がけた。トラブルも多かったが、最終日にイチかバチかの全開アタックを行い、見事T1Gクラスで優勝を勝ち取った。

ドリフトとAXCRの違いについて問われると、「ドリフトはいわば高飛び込み。最初の踏み切りが大切な点はドリフトの進入と同じ。ラリーはフルマラソン。瞬発力じゃなくて持久力、タフさが問われる」とのこと。双方を難なくこなく適応力に、スゴイと感じた。

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■オプカンR/Tのトレッドパターンはこう作られた!

タイヤ技術開発本部でデザイン設計を手がける谷口二朗さん。普段は聞けないオプカンの開発の経緯を話してくれた

続いて登場したのが、トーヨータイヤでオプカンなどのデザイン設計を担当する谷口二朗さん。谷口さんは、オプカンの人気モデル「R/T」のパターンデザインができるまでの経緯を教えてくれた。

オプカンにはもともと、マッド向けのM/Tと、オンロード重視のA/Tというモデルがあったが、双方のユーザーの要望を満たす中間的存在として、R/Tの登場は非常に画期的だったという。

このためR/Tのトレッドパターンには、M/TとA/T双方のグルーブデザインが活きているそうだが、その根底には掘削機などの「力強さ」「クラッシュ」というイメージがあるそうだ。

もちろんその後は、コンピューターシミュレーションなどによって性能評価が行われるわけだが、谷口さんはR/Tにトレッドパターンのある秘密を教えてくれた。

それはトレッド面両端にあるショルダーブロック。一見同じピッチで並んでいるように見えるが、実はこれ、「大」「中」「小」と微妙に異なるピッチのものが組み合わされているのだそうだ。

その理由だが、同じピッチでブロックを並べると、特定の周波数にノイズのピークが生まれて耳障りになる。そこでピッチを微妙に変えてピークを消し、ノイズ全体をフラットにしているのだという。トレッド面に秘められた技術に、思わずうなってしまった。

というわけで、楽しい時間はあっという間に過ぎ、最後は駐車場で愛車との集合写真を撮影。お土産に「俺の#オプカングッズ」なども配られ、実に充実したイベントだった。

どうやら「俺の#オプカン」は、今後もどんどん進化しそう。次のイベントでもオプカンのワクワクを期待しよう!

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