交差点などでよく見かけることのある、クルマの進行方向を示す青地に白い矢印が入った標識。なかにはひと目では判断がつきにくい難解なものもある「指定方向外進行禁止」のルールとは?

文/井澤利昭、写真/写真AC、イラストAC

■指定方向外進行禁止とは?

青色の丸いプレートに白い矢印が入ったシンプルなデザインが採用される「指定方向外進行禁止」の道路標識。写真の交差点では左折のみが可であることを意味している

 ドライブやクルマでの出張などで、初めて訪れる場所では、ひと目でその内容を理解できず、思わず「ん!?」となってしまうような道路標識に出くわすことがある。

 「指定方向外進行禁止」も、“一瞬で判断するのが難しいのでは?”と思わせるものが多い道路標識のひとつだ。

 「指定方向外進行禁止」とは、矢印で指定された方向以外にクルマは進んではいけないことを示す円形の道路標識で、青地に進行できる方向を指示する白い矢印が描かれている。

 その多くが十字路や丁字路など、道路が分岐している交差点の手前に設置されており、その名称のとおり、矢印で指定された方向以外の道路にクルマが進行することを禁止するという意味を持っている。

 国土交通省が公開している道路標識一覧では「指定方向外進行禁止」を示す基本形のものとして、全部で6種類のタイプがあるとされている。

 ちなみに似たようなもので四角い青地に白い矢印が入った標識があるが、こちらは車線ごとに進むことができる方向を示す「進行方向別通行区分」の道路標識で「指定方向外進行禁止」とは意味合いが異なる。

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■指定方向外進行禁止標識の見方

 先ほども述べたとおり、「指定方向外進行禁止」の道路標識には基本形として6つのタイプがあるが、そのなかでも街中で見かけることが多いのが矢印が2つに分岐したタイプだろう。

 特に、直進を示す上向きの矢印と左に曲がった矢印を組み合わせたタイプは「右折禁止」を意味する標識としてよく見られるもの。このタイプには直進と右向きの矢印を組み合わせた「左折禁止」のものも存在する。

 また、同じように2つに分岐する矢印が描かれた「指定方向外進行禁止」の道路標識には、左右に曲がる矢印が組み合わされたタイプもあり、これは「直進禁止」を表すものだ。

 いっぽう「指定方向外進行禁止」の道路標識には、矢印が1本のみのシンプルなタイプも存在する。

 直進を示す上向きの矢印のタイプは「右左折禁止」を示したもの、左右それぞれに曲がった矢印のタイプは「左折(もしくは右折)のみ可」の交差点であることを示している。

 このうち直進のみOKの上向きの矢印のタイプは、高速道路への合流など、その方向にしか進むことができない場所でよく見かけるのではないだろうか。

 さらに「指定方向外進行禁止」の道路標識のなかでも珍しいのが、複数の矢印と矢印がない線のみを組み合わせたタイプ。

 このタイプも基本的には矢印がある方向にしかクルマは進行することができないが、設置される場所の道路の形状に準じたさまざまなバリエーションがあるのが特徴だ。

 最後は矢印が斜め下方向に向いているタイプだが、6つの基本形がある「指定方向外進行禁止」の道路標識のなかでも唯一、矢印の向きが道路の形状に沿ったものではなく、その矢印が向いている側の車線を走ることを指示するもの。

 このタイプは中央分離帯がある道路や、一部の車線を規制し、工事や作業が行われている道路などで見ることができる。

 いずれにしても「指定方向外進行禁止」の道路標識がある場所では、矢印が指示する方向にしかクルマは進行することができないと考えるといいだろう。

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■難解な指定方向外進行禁止標識

複数の「指定方向外進行禁止」の道路標識と補助標識が取り付けられた結果、規制の内容を理解するのが非常に難解になってしまうことも。写真では大型車は「右折のみ可」の標識があるが、その右折路が手前と奥、どちらの道を指しているのかわかりづらい

 デザイン自体はシンプルである「指定方向外進行禁止」の道路標識ではあるが、初めて通る見知らぬ場所で出くわすと、その指示する方向がわからず、思わず「ん!?」となってしまうものも。

 その原因としてまずありがちなのが、5本以上の道路が交わる「多差路」と呼ばれる交差点に設置されているパターン。

 なかには、現場の道路事情に合わせて複数の矢印や線が複雑に絡み合ったものや、曲がりくねったいびつな形をしたものなどがあり、この先の道路がどのようにつながっているのかが理解しにくいことも。

 目的地に向かうのにクルマをどちらへ走らせたらいいのかと悩んでいる最中に、このような「指定方向外進行禁止」の道路標識を目にしてしまうと、ちょっとしたパニックに陥る可能性すらありうる。

 さらに難易度が高いのが、ひとつの交差点に複数の「指定方向外進行禁止」の道路標識が掲げられているというパターン。

 これは、車両区分や時間帯によって進むことができる方向が異なる交差点に設置されてるもので、それぞれの標識と合わせて取り付けられている補助標識を見なければ、その規制内容を正しく理解することができない。

 とはいえ、その場所を初めて通るドライバーが、ひと目でそれらを確認して理解することはなかなか難しいのが現実だ。

 加えて先に挙げた複雑怪奇な形の交差点との組み合わせとなれば、難易度はMAXまで上昇してしまうだろう。

 こうした難解な道路標識は、探してみると案外とあちこちで見られるもの。見逃して違反切符を切られてしまった!……なんてことにならないよう、知らない道を走る際には特に気をつけたいものだ。

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