2013年7月16日、翌7月17日に相次いで一部改良・マイナーチェンジを果たしたスズキの4代目ワゴンRと3代目スイフト。そこへ編集部の妖精「馬場下さん」が登場、その進化の程を確かめた!! 色々察して『裸の大将』山下清風に読んであげてください!(本稿は「ベストカー」2013年9月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
■K12B型直4エンジンを大改良! 20周年記念車も登場で隙なしのワゴンR
「ボクは馬場下なんだなぁ。エネチャージ! のスズキがいろんなクルマを新しくしたというから、ちょっと見せてもらいに来たんだなぁ」
はいはいはい! 編集部ウロウロしないで馬場下さん。今日はね、スズキが渾身のマイナーチェンジで一気に性能を進化させたワゴンRとスイフトの試乗会なんだから、ちゃんとしてくださいよ!
「ワゴンRはね、もの凄く燃費がよくなったって言うけど!?」
一昨年のデビュー時はJC0モード燃費=28.8km/Lだったものが、今回はなんと30.0km/Lに向上したんですよ!
「乗せてもらったけど、燃費がよくなったのに走りもキビキビで気持ちよかったんだな。やっぱりエネチャージの効果なのかな!?」
もともとエネチャージをはじめエコクールなどの燃費改善技術は盛り込まれていて、開発者に聞いたけど、そのあたりはいっさい変更がないとのこと。
「じゃあ、どうして燃費がよくなったのかな!?」
エンジンの下に整流板を付けて風の流れを安定させるとともに、車高を5mm下げて空力を改善しているんです。あとは、エンジンとCVTの協調制御の改善。
つまり、エンジン効率の回転域をより引き出すCVTの変速プログラムを採用した、ということですね。エンジン内部ではカムチェーンを狭幅化するなど低フリクション化を図っているのも効いているとのことですよ。
「普通に走って気持ちいいんだなぁ。赤信号で止まろうとするとエンジンがストンと止まるんだけど、エンストしちゃったのかなァ!?」
アイドリングストップは13km/h以下で効くので、街中ではライバル各車よりもこまめにエンジンが止まる印象です。このあたりもJC08モード燃費のアップに貢献しているのでしょう。
「ところで、なんかあっちで面白そうなことをやっているんだな。ボクも試してみたいんだな」
レーダーブレーキサポートですね。30km/h以下の速度で走っていて追突しそうになると自動でブレーキがかかって止まるんです。
「ボクがぼけーっと乗っていても安心なんだな。ちょっと試してみるんだな」
だ、大丈夫ですかぁ~!?
「ドキドキしたんだな。でもちゃんと止まったからよかったんだな。ボクが買うんだったら絶対にこれを付けるんだな」
このレーダーブレーキサポートはレーザーレーダーによって前方車両を検知。約5~30km/hで作動し、衝突を避けられないと判断した場合は自動でブレーキをかけて衝突被害を軽減するというもの。
これと合わせて、前方に障害物があるにもかかわらずブレーキと間違えてアクセルを踏み込んだような場合に作動する「誤発進抑制機能」なども付いて4万2000円! CVT車全車にオプション設定となっているんです。
●スズキ ワゴンR、マイナーチェンジの注目ポイント
・【軽ワゴンNo.1のJC08モード燃費30.0km/Lを達成(飛び道具なし!)】
・エンジンフリクションの低減
・パワートレーンの協調制御の進化
・エンジンアンダーカバーによる空気抵抗の低減
・先進の安全技術を搭載(しかも4万2000円というオプション価格)
・レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)
・ペダル踏み間違いによる「誤発進抑制機能」
・ESP(車両走行安定補助システム)搭載
●スズキ ワゴンR FXリミテッド(2WD)主要諸元
・全長:3395mm
・全幅:1475mm
・全高:1640mm
・ホイールベース:2425mm
・車重:790kg
・エンジン:水冷直列3気筒
・排気量:658cc
・最高出力:52ps/6000rpm
・最大トルク:6.4kgm/4000rpm
・JC08モード:燃費30.0km/L
・価格:124万9500円
●スズキ ワゴンR 主要グレード価格(いずれも2WD)
・FX=110万9850円
・FXリミテッド=124万9500円
・20周年記念車=134万4000円
・ワゴンRスティングレー:X=134万4000円
【番外コラム】乗ってわかった! ライバル 日産デイズに勝る部分
NMKVからの渾身の一台、日産デイズとガチンコ勝負となるワゴンR。
試乗してわかったデイズに勝る部分はまず動力性能。それにドライバビリティだろう。燃費も30.0km/Lで優位。今回の大進化は、軽を作り続けているスズキの経験値と底力を見せたといっていい。
■スイフトにも、僕、ビックリしたんだなぁ!
「スイフトにもエネチャージが付いたと聞いたんだなァ」
はい、馬場下さん。スイフトの一部グレードに新開発デュアルジェットエンジンとエネチャージが搭載されてJC08モード燃費が26.4km/Lになったんですよ。
「デュアルジェットっていったいなんなのかな!? 飛行機みたいなものなのかな!?」
直列4気筒1・2Lエンジンの効率を高めるために圧縮比を11から12に上げたんです。高い圧縮比でもエンジンがキチンと回るように2つのインジェクターで燃料を細かく霧状に噴射して爆発させるんです。これがデュアルジェットです。
「スイフトに乗ったら、もの凄く乗り心地がよくてビックリしたんだな! 音も静かで気持ちいいんだな」
馬場下さん、そこですよ、そこ! スイフトってもの凄く足がしなやかで乗り心地がよくてしっかり走る。さすが本質を見抜いていますね!
「エンジンもスムーズに回っていて加速も滑らかなんだな」
エネチャージを採用したので、加速中はオルタネーターを駆動することがなく、余計な抵抗がなくなるのでよりスムーズなんですね。減速する時に発電機を回してバッテリーに電気を貯めるんですよ。
「ブレーキを踏むとワゴンRと同じようにエンジンがスコンと止まるんだなぁ」
ええ、13km/h以下でアイドリングストップする新機構が搭載されました。
「ところで、どうしてRSにはデュアルジェットが積まれていないんだろうな!? とってもいいエンジンなのに」
いい質問ですよ、馬場下さん! ベストカー読者にも人気のスイフトRSですが、4WD車にはデュアルジェットエンジンが採用されるものの、エネチャージの搭載は見送られています。
で、RSのFFモデルはデュアルジェットもエネチャージもなし。JC08モード燃費だって20.6km/Lのままなんです。
「なんでなのかな!? スズキの人、教えてほしいんだな」
開発責任者の堀算伸さんに聞いたら「まずはベースグレードをしっかりと作り込んで、そのうえでRSもキチンと作っていきたい。みなさんからRSにも早くDJEを搭載してほしいとご指摘をいただいています」とのことでした。
いま、一生懸命開発をしているんですよ。ちょっと待ってあげましょうよ!
「いろいろ大変なんだな。ご苦労様なんだな」
ところでスイフトは今回のマイナーチェンジで姿勢制御システム(ESP)が全グレード標準装備となっています。こんなあたりにもスズキの本気が感じられます。
「ボクが乗っても安心なんだな。これからのクルマはやはり、燃費と走り、そして安全性がキモになるんだなぁ」
●スイフト、マイナーチェンジの注目ポイント
【新エンジンとスズキグリーンテクノロジー採用】
・燃焼効率の改善などが肝のデュアルジェットエンジン
・コンパクトカー初のエネチャージを搭載i
・新アイドリングストップシステム搭載で燃費アップ
・エコクールで燃費アップ
【低燃費支援の専用メーター】
【ESP(車両走行安定補助システム)を標準搭載】
●スズキ スイフト 主要グレード価格(いずれも2WD)
・XG-DJE=139万7550円
・XL-DJE=148万4700円
・XS-DJE=160万8600円
・スイフトRS(5MT)=142万6950円
●スズキ スイフト XL-DJE(2WD)主要諸元
・全長:3850mm
・全幅:1695mm
・全高:1500mm
・ホイールベース:2430mm
・車重:1000kg
・エンジン:水冷直列4気筒
・排気量:1242cc
・最高出力:91ps/6000rpm
・最大トルク:12.0kgm/4400rpm
・JC08モード燃費:26.4km/L
・価格:148万4700円
※DJE=デュアルジェットエンジン
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
(以下は画像ギャラリーに配置する画像です)
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