カーオーディオシステムのアップグレードに興味を持っていろいろと調べてみると、何かと“分かりづらい”事柄に出くわす。当連載ではそれらの意味や内容を解説している。今回は前回に引き続き、「外部パワーアンプ」の“ch数違い”について説明していく。

◆スタンダードなのは4chタイプ。加えて1chタイプや多chタイプも存在!

前回の記事にて説明したとおり、カー用の外部パワーアンプには“ch数違い”がいくつかある。なおもっともスタンダードなのは「4chタイプ」だ。

ちなみにステレオ音源には左右chの信号、つまり2種類の音楽信号しか録音されていないので、外部パワーアンプも「2chタイプ」であればOKだ。しかし4chタイプがスタンダードとなっているのは、4chあればフロントスピーカーとリアスピーカーの両方を鳴らせて、または「フロントスピーカー+サブウーファー」という本格システムの基本形にも対応するからだ。

なお、カー用の外部パワーアンプにはその他のタイプもある。それは、「1chタイプ」と「多chタイプ」だ。

それぞれがどのような物なのかを説明していこう。まずは1chタイプについて。ちなみに当タイプは「モノラルタイプ」とも呼ばれている。

「サブウーファー用1chパワーアンプ」の一例(モレル・MPS 1.550)。

◆1chタイプにはサブウーファー用とマルチアンプシステム用とがある!

で、「1chパワーアンプ」にはタイプ違いが2つある。1つが「サブウーファー用」で、もう1つが「マルチアンプシステム用」だ。

それぞれの存在理由を説明していこう。まずサブウーファー用がある理由は以下のとおりだ。サブウーファーは超低音の再生を担当するスピーカーだが、超低音は1波長が長いので音の出どころが分かりづらい。しかも車室内は狭いので、その傾向は一層強くなりステレオ感が出にくい。であるならステレオで鳴らさずにモノラルで鳴らした方が合理的だ。

そしてサブウーファーは振動板の口径が大きいので、しっかりパワーをかけて鳴らしたい。ならばch数を「2」から「1」に減らせば、より大きなパワーを発生できる。

なお「サブウーファー用のモノラルパワーアンプ」は、再生周波数帯域が狭い。中域よりも高い周波数の音を再生するようには作られていないのだ。

一方「マルチアンプシステム用のモノラルパワーアンプ」は基本的に、フルレンジ再生用の高音質タイプとなっている。

市販「外部パワーアンプ」の一例(モレル・MPSシリーズ)。

◆マルチアンプシステムを「モノラルアンプ」で組むと音が良くなる!?

ちなみに「マルチアンプシステム」とは、1つ1つのスピーカーユニットを「パワーアンプ」の1chずつの出力を使って鳴らすシステム様式のことを指す。なのでフロントスピーカーが「セパレート2ウェイ」の場合には、パワーアンプのch数は「4」が必要となる。

そのマルチアンプシステムを組むときに、1chずつを別体の外部パワーアンプで鳴らすとchセパレーションがより良くなる。そのかわりコストが高く付きがちでかつコントロールの難易度も上がるのだが、それらハードルを乗り越えられると一層の高音質化を狙える。ゆえに「マルチアンプシステム用のモノラルパワーアンプ」が存在している。

そして多chタイプは、複雑なシステムを1台のパワーアンプでまかなおうとするときに選択される。主には「5chタイプ」、「6chタイプ」「8chタイプ」が、いくつかのブランドからリリースされている。

今回は以上だ。次回以降もパワーアンプに関連した分かりづらい事柄についての解説を続行する。乞うご期待。

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