カニの脚はたいてい8本か10本ですが、これは4本脚の新種のカニのお話です。
クローラで移動し、4本脚のアウトリガで本体と荷重を支える通称「カニクレーン」の正式名称は「ミニ・クローラクレーン(ミニクロ)」と言います。
ユニックといえばトラック搭載クレーンの代名詞ですが、このところユニック車が不向きな現場で活躍するミニクロのラインナップも増えてきて、またまた新種登場! 今度は住宅密集地・狭小地住宅施工の課題を解決する住宅建築用のミニクロとか。
現場の困りごとに応える「解決力」がスゴい古河ユニックの新しいミニクロをご紹介しましょう。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・イラスト/古河ユニック
住宅密集地・狭小地住宅施工の課題を解決
古河ユニックがこのほど発売したのは、ミニ・クローラクレーンの新たなカテゴリー製品であるミニ・クローラクレーン「U-CUBE」で、最大吊り上げ能力 980kgの住宅建築用クレーンである。
住宅建築の耐震化や土地の有効活用にあたり、鉄筋コンクリート造の新築・リフォーム施工のニーズが高まっているいっぽう、都市圏や駅近の利便性の高い住宅密集地や狭小地には、従来のトラック搭載型クレーンやラフテレーンクレーンなど車幅や機体の大きいクレーン車が入り込むことが困難なため、工期の長期化や、それに伴う輸送費・人件費の増加、周辺道路を通行止めにせざるを得ないなどの課題が発生していた。
古河ユニックでは、これらの課題を解決すべく、ミニ・クローラクレーンが持つコンパクトボディの優れた可搬性と、液晶ディスプレイによる安全性・操作性に加え、直立型起伏ブームと折曲式ブームを搭載し、高い吊り上げ能力を備えたミニ・クローラクレーン「U-CUBE」を新たに開発した。
「U-CUBE」は、住宅密集地などの狭小地における住宅建築施工(特に鉄筋コンクリート造りの戸建てや集合住宅での資材吊り上げ作業)を行なうための機能に特化して開発。
最大吊り上げ能力980kgのミニ・クローラクレーンで、3階建て住宅の施工に対応する起伏ブーム3段の「URW7035C4-HC1」、5階建て程度の低層階ビルの施工や立体駐車場等の施工に対応する起伏ブーム5段の「URW7055C4-HC1」を新たにラインナップした。
大型クレーンの入り込めない現場へ自走して進入し、入れ子式の伸縮型(テレスコピック式)起伏ブームを採用し、折曲ブームを連結することで、これまでにない作業範囲の拡大を可能にした。
ちなみに起伏ブームとは根元のブームのことで、コラム部分に伸縮型ブームを採用し、更にブームを連結することで作業性を高めている。 また、折曲ブームとは起伏ブームの先端に連結した伸縮型ブームのことで、作業半径を調整するものだ。
ミニ・クローラクレーン「U-CUBE」の主な特徴
【伸縮型起伏ブームの採用】
伸縮型(テレスコピック式)起伏ブームの採用で、建物の奥側へのアクセスが容易に行なえ、架空線(電線)や足場などをかわしての資材搬入が可能。
【優れた小回り性能】
両機種ともに格納状態での本体全幅は1500mmで、格納状態での本体寸法をコンパクトに設計している。 URW7035C4-HC1は、幅2mの直角通路を、URW7055C4-HC1は幅2.4mの直角通路をそれぞれ走行でき、大型クレーンの入り込めない現場へ進入しての作業が可能となっている。
【「脱出モード」を搭載】
「U-CUBE」独自の新たなモードである「脱出モード」を搭載。このモードでは、通常のクレーン・アウトリガ操作の制限を解除し、狭い隙間にクレーンを通して現場から撤収する際に必要な操作のみが行なえ、省スペースでの格納・撤収作業が可能になっている。このため、建物内へ設置してクレーン作業を行なったあと、本体を脱出させることができる。
【多彩なアウトリガの設置パターン】
- さまざまな作業姿勢を選択可能
両機種ともに、アウトリガの張り出し位置を前方各5位置、後方各6位置の選択が可能。また、古河ユニックの乗車型ミニ・クローラクレーンでは初めて、アウトリガに2段折曲式を採用。アウトリガのロックピンの位置で、張り出し状態を6パターン選択でき、前方各30パターン、後方各36パターンの多様な張り出しパターンでの設置が可能になっている。 - 建物内にも設置可能で、道路の通行止めが不要
2段折曲式アウトリガの採用で、どのアウトリガの状態でも、一般的な住宅基礎の高さ(約 450mm)をまたいで設置することが可能。建物内にも設置可能で、道路を封鎖することなく作業を行なうことができる。道路の通行止めを行なう必要がないため、もし通行止めができない場所でも、作業が可能になっている。
【選べる作業姿勢(URW7035C4-HC1)】
URW7035C4-HC1の起伏ブームの作業姿勢は、85°、90°、95°の3種類から選択して作業することができる。選択した角度により、クレーンの性能は変化。吊り上げ能力を重視したい場合は 85°、最大作業半径を確保したい場合は95°、バランスを求めたい場合は90°と、施工現場の求める能力により選択可能となっている。
【先進のクレーン監視システムを搭載】
- 液晶ディスプレイでクレーン状態を常時監視
液晶ディスプレイでは、作業姿勢に応じた定格荷重や負荷率などが確認できる。吊り荷重の表示単位は、ミニ・クローラクレーン同様、10kg単位と高精度。定格荷重は、アウトリガの張出状態によって前後左右それぞれ変化するが、アウトリガの設置位置を検出し、定格性能を自動で判別する。多様なアウトリガの設置パターンに全て対応していて、液晶ディスプレイで確認できるようになっているため、現場の安全作業をバックアップできる。 - フロントビュー
液晶ディスプレイでは、機体の前方カメラの映像も確認できる。走行モードでは、クレーン本体の車幅を示すガイド線も表示されるので、狭い通路でも安全に走行できる。 - 液晶ラジコンJOY
連動操作性に優れるジョイスティック式ラジコンにも対応している。本体から 離れた場所でも、常にクレーンの状態を確認しながら作業を行なうことができる。
【充実の安全機能】
クレーン操作中のアウトリガ操作や走行操作など誤操作を防止する各種インターロック装置や、走行時の安心をバックアップする機能を搭載。 クレーン・走行レバーインターロック装置、クレーン・アウトリガインターロック装置、アウトリガ未接地時インターロック 装置、コラム・起伏ブームリンクピンインターロック装置、アウトリガピンインターロック装置、前照灯、走行用回転灯、 点滅灯(ブーム先端) などがそれである。
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