ハイブリッドが当たり前の今、日産には本格ハイブリッドといえるパワートレインがない。厳密にいえばe-POWERはあるもののスカイラインやエルグランドといった大型モデルには少々キツイのだ。となれば販売的にも厳しいワケで、今の状況を招いた一因でもある。かつてスカイラインやフーガなどに積んでいたFRハイブリッドを残してればよかったのでは!? と思わずにいられないのだ!!!!!!!!!!
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■EVに力入れすぎるも販売伸びず…こりゃ作戦失敗
先日発表された2024年9月期の中間決算報告で、90%超という大幅な利益減が明らかとなった日産自動車。その中にはBEVに力を入れるがあまり、e-POWER以外のハイブリッドモデルのラインナップが手薄になってしまったことも原因のひとつに挙げられていた。
しかし日産は贅沢かつドライバビリティに富んだFR車用のハイブリッドシステムを保有しており、これをもっと幅広い車種に搭載すればよかったのではないかと思ってしまうのだ。
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■かなり凝ってたのよ日産謹製HV!! Zに載せるなんてのもよかったのでは!?!?
セドリック/グロリアの後を受けて2004年に登場したフーガは2009年に2代目にフルモデルチェンジ。そしてそこから約1年後に追加されたハイブリッドモデルは、日産独自のハイブリッド車としては2000年に発売されたティーノハイブリッド以来、2車種目のハイブリッドモデルとなっていた。
このフーガハイブリッドに搭載されたハイブリッドシステムは、FR車用の「インテリジェントデュアルクラッチコントロールハイブリッド」と名付けられたもので、シンプルで高効率な1モーター2クラッチ方式を採用。
エンジンとモーターの間にひとつ、トランスミッションの後端の間ひとつの計2つ電子制御クラッチを設けてあるのが大きな特徴で、走行状態に合わせて緻密にクラッチを操作し(もちろん自動で)エンジンのみやモーターのみ、そしてエンジン+モーターとさまざまな走行状態を組み合わせ、燃費と走行性能の両立をバランスさせていた。
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■燃費もパワーも制御も見事!! 賛否両論あったけど残しとくべきだったんじゃ……
またトランスミッションにはガソリンAT車用の7速のものをベースとしてコストを抑えつつも、トルクコンバーターを介さないことで、ダイレクトな走行フィールを実現していたのもポイント。
トルコンレスのATというと近年ではCX-60/80に搭載されているものが知られているが、フーガハイブリッドに搭載されていたものは、正直マツダのものよりも洗練されていたといっても過言ではない仕上がりとなっていた。
V6 3.5Lのエンジンにモーターを組み合わせたパワートレインはシステム最高出力364PSと必要十分で、2011年9月にはフーガハイブリッドの海外仕様であるインフィニティM35ハイブリッドが0-400m加速で13秒9031という、当時のフルハイブリッド車の世界最速記録としてギネスに認定されるほど。
それでいて燃費性能はWLTCモード燃費で12.8km/L、JC08モード燃費で18.0km/L(最終型の数値)と低燃費であり、非常に魅力的なパワートレインとなっていた。
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しかし、このパワートレインはその後、シーマとスカイラインのハイブリッドモデルに搭載されるに留まり、スカイラインハイブリッドには条件付きでハンズオフ走行も可能なプロパイロット2.0が用意されていたが、すべてのモデルが2022年8月に終売となってしまった。
そもそも大排気量のFRセダンの需要が縮小してしまっているという事実はあるものの、例えば3代目(現行型)エルグランドもFRレイアウトを踏襲し、このパワートレインを搭載するとか、フェアレディZにもハイブリッドを設定して新たな顧客を創造するといった横展開がされなかったのは残念至極である。
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