古河ユニックは12月10日、新型1台積み車両運搬車「ユニックキャリアNeoA(ネオエース)」の販売開始を発表した。新型NeoAでは、従来型に対して荷台傾斜角の緩和をはじめとする作業性の向上およびデザインの質感向上が図られ、架装重量の軽減で最大積載量3.5トンの確保も可能となるなど、大幅な商品力アップを達成している。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/古河ユニック

荷台傾斜角はゆるやかに作業全長はより短く

古河ユニックの新型フラットタイプ車載車「ユニックキャリアNeoA(ネオエース)」UC-02E型(写真:古河ユニック・加工:フルロード編集部)

 現在、1台積み車両運搬車(以下車載車)のほとんどが荷台をスライド・傾斜させるメカニズムを備えているが、新型ユニックキャリアNeoAは、その中でも、荷台全体をほぼ地表面に降ろすことができる『フラット型』である。

 フラット型は、荷台の最大スライド時で傾斜角が水平に近くなることから、最低地上高の低いクルマや前後オーバーバングの長いクルマでも積み降ろしがしやすい特徴があり、特に高級輸入車の搬送業務やロードサービス業界などで支持を集めている。

 新型ユニックキャリアNeoA(メーカー型式:UC-02E)では、積み降ろし作業時の荷台傾斜角が約0.8度(最大スライド時)~約9.6度(最小スライド時)で、従来型の最大スライド時(約1.4度)に対して傾斜角の緩和を達成した。

 また、作業全長(トラックシャシーの前端から荷台道板の後端まで)は13590mm(最大スライド時)~10815mm(最小スライド時)で、従来型の最小スライド時(11810mm)に対してほぼ▲約1mもの短縮を実現、より省スペースでの積み降ろし作業が可能となった。

 荷台後部の接地ローラーは標準で4個装備となり、従来型の2個に対して、安定性がより高められている。

NeoA/UC-02E型では最小の荷台傾斜角が約0.8度となり、従来型(Neoα+/UC-01NEXRS型)の約1.4度よりさらに緩和されている
NeoA/UC-02E型の作業全長。「作業全長」とは車両積載が行なえる状態でのシャシー前端と荷台後端の総全長を示す。0.4度時では従来型より+135mmと少し長くなるが、9.6度時では▲995mmもの短縮を実現している

足踏みペダルでリアゲートロック解除

新採用の足踏み式リヤゲート連動ロック機構。従来はハンドレバー操作式で身体を屈める必要があった

 同じく荷台後部に装備するテールゲート兼用の道板の開閉操作には、新開発の「足踏み式リヤゲート連動ロック機構」を採用した。

 これは連動ロック解除を足踏みペダルで行なう方式としたもので、従来型のハンドレバーに対して、作業者は立ったままの姿勢で操作できるようになった。このロック機構の本体も新開発で、道板格納時のホールド性を高めており、走行中のガタつきをなくしたという。

 道板はスチール製。形状は従来型のユニークな中折れ型ではなく、オーソドックスなストレート・グレーチング型となったが、道板傾斜角は約4.3度で、従来型(5.3度)よりも緩やかになっている。

 車載車のエクステリアで個性を発揮するのが、荷台前端の鳥居(キャビンガード)で、実は車載車メーカー各社がデザインに力を入れている部分である。新型NeoAでは、鳥居の上部側面を前傾させた新形状とし、併せて黒を基調にゴールドのグラフィクスを入れたデカールを配置して、高級車の搬送機会も多い最上位機種らしい上級感を演出した。なお、同デザインで高さを抑えた「低型鳥居」もオプション設定している。

新デザインの鳥居には、全高を抑えた低型鳥居も設定。立体駐車場など天井の低い作業現場で、荷台傾斜時に鳥居の接触リスクが抑えられるオプションだ

軽量化によって最大積載量3.5tを確保!

マクラーレンGTを積載したNeoA/UC-02E型の搬送イメージ。フラット型車載車は高級輸入車の搬送業務で好まれており、スライド1台積み車載車としてもハイエンドクラスである(写真:古河ユニック・加工:フルロード編集部)

 架装対象は小型トラック2~3.5トン積・超ロングボディ車で、シャシーによって前述の荷台傾斜角や作業全長、積載量といったスペックが変わるものの、架装重量を約250kg軽減しており、最大で積載量3.5tまで確保可能としている。近年の乗用車(特にSUVやミニバン)は、ハイブリッド車やバッテリーEVなど車両重量が増えているため、積載量の余裕は大きな強みだ。

 荷台の傾斜・スライドの各動作は従来型と同じく、それぞれ油圧シリンダーのピストン伸縮動作を直接用いる「全工程シリンダ」を採用。高い信頼性と耐久性、メンテナンス性で優れるとしている。また、荷台を4点支持して横方向への動きを規制する「ブレガード+」も同じく従来型から継承した。

 なお、積み降ろし作業時に荷台の荷重を分散する折りたたみ式リアステー(支持脚)の装着モデル(UC-02EG)も、従来型にはなかったバリエーションとして設定している。

 荷台スペックは、内法長5710mm×内法幅2080mm×内法高110mmで従来型と同一、床面地上高は960mm~1070mm(後車軸上)でこちらもほぼ同等、床板は2.8mm厚の縞鋼板で、従来型(3.2mm厚)に対して薄板化している。荷台上には容量1.3トンのウインチを装備する。

UC-02EG型NeoAが装備するリアステー(支持脚)。積載時の安定性がより高められる機能がある。UC-02EGでは荷台スライドと連動して展開・接地するしくみを採用。スライド車載車では一般的な装備だが、フラット型では装備・非装備で展開が分かれており、NeoAはどちらも用意したといえる

オプションを豊富に設定・クレーン搭載モデルも予定

タイヤラッシング装置のイメージ。もちろん実際には積載したクルマに対して用いる。ユニックキャリアシリーズでは従来からオプション設定していたアイテムだ

 このほかメーカーオプションとして、近年普及しつつあるタイヤ固縛に対応した「タイヤラッシング装置」「タイヤラッシング金具収納スペース」を設定、また車両後端下部の艤装物(リアバンパー/荷台接地ローラー/リアコンビネーションランプ)への巻上げ雪の付着を抑える「雪付着防止カバー」を設定する。

 また、従来型Neoα+(ネオアルファプラス)では「プレミアム仕様」としてセットオプションだった、「荷台内LEDマーカーランプ(青色LED)」「LEDマーカーランプ(側方灯)」「油圧開閉式リアゲート」がそれぞれオプションとして選択可能となり、LED路肩灯もオプション装備としてラインナップしている。

 現時点での展開モデルは、車載専用型の標準仕様UC-02Eとリアステー仕様UC-02EGの2機種だが、クレーン搭載型(超々ロングボディ車ベース)も設定予定という。 シャシーを含まない架装部分の販売価格は標準仕様が313万円、リアステー仕様が339万円。古河ユニックでは、年間販売目標を240台としている。

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