絵や文字がはみ出ているように見えるユニークなはんこを作る職人が秋田・横手市にいる。ネコにデザート、「百人一首」も!見た人を笑顔にさせるはんこ職人のこだわりの技に迫る。

きっかけは友人からの相談

横手市にある明治43(1910)年創業の老舗はんこ店「堀内印房」。
3代目の店主となる堀内基矢さんは、市内の高校を卒業後、秋田市内で会社勤めをしていたが、20代後半に上京。はんこ店で数年修行を積んだあと、現在の店を継いだ。

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堀内印房では、はんこ一つ一つを丁寧に手彫りで仕上げている。
堀内さんは、2016年に友人からある相談を受けたことをきっかけに、ユニークなはんこ作りを始めた。

堀内印房・堀内基矢さん:
「ネコの顔の入ったはんこを作れるか」と言われて、描いているうちに手が枠からはみ出ていたらかわいいかなと思って、彫ってみたらなかなか良い出来だった。渡したらすごく喜んでくれた

この店でしか手に入らないオリジナルのはんこ。その名も「はみ出た印」だ。

「はみ出た印」は、文字やイラストを通常より一回り小さく彫って余白を設けることで、はみ出るデザインが可能になった。かわいらしいはんこのうわさはすぐに広がり、店の人気商品に成長した。

堀内さんが考えたデザインは、動物や食べ物などさまざまで、その数約1500種類。中には2つのはんこを組み合わせて使うことで一つの図柄となる珍しいものや、構想3年以上という「百人一首」シリーズもある。

「百人一首」シリーズ

どれも堀内さんのきめ細かな技術が感じられる。これらはすべて認め印や銀行印としても使用できるそうだ。

ポイントは“文字と絵のバランス”

「だんだん絵柄が細かくなってきていて大変」というオリジナルはんこ「はみ出た印」を作る際のポイントを聞いた。

堀内印房・堀内基矢さん:
文字とのバランスがポイント。絵が大きすぎると肝心の名前が見えないので、文字と絵のバランス

近年はデジタル化によって「はんこレス」が進んできたが、堀内さんは「はんこは人生の節目に必ず必要なもので、重要性は変わらない」と話す。

堀内印房・堀内基矢さん:
自分のはんこを好きになってもらいたいという思いがあるので、好きになってもらえば大事にしてもらえる。誰も持っていない愛着が湧くようなはんこを作りたい

一つ一つにこだわりの技が光る堀内さんの「はんこ」。使う人が大切に思うはんこを、きょうも作り続ける。

(秋田テレビ)

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