秋田県が定める5月26日の「県民防災の日」を前に、防災や減災について考える。

近年、災害級ともいえる危険な暑さにより、県内でも熱中症だ深刻となっている。県のまとめによると、2023年5月から9月までに県内で熱中症の疑いで搬送された人は1200人で、統計を取り始めた2007年以降で最も多くなった。

こうした中、熱中症から人々の健康を守るため、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」が県内のどこかの観測地点で33を超える場合、気象庁と環境省が「熱中症警戒アラート」を発表している。

4月24日からは、さらに重大な健康被害が生じる恐れがある場合に発表される「熱中症特別警戒アラート」の運用が始まった。

「熱中症特別警戒アラート」は、県内全ての観測地点で暑さ指数が35を超える場合に発表される。

発表された場合、自治体は、事前に指定した冷房の効いた施設を「クーリングシェルター」として住民に開放することが求められる。

また、学校の校長や会社の経営者、イベントの主催者などは、熱中症対策が徹底できない場合、運動やイベントの中止リモートワークへの変更といった判断が求められる。

一方で、熱中症を防ぐには私たち一人一人の心がけが必要だ。熱中症が疑われる症状が出た場合に何ができるのか医師に聞いた。

話を聞いたのは、秋田赤十字病院・救命救急センターの大村範幸センター長だ。

 秋田赤十字病院救命救急センター・大村範幸センター長:
「最初の段階で起こる症状としては、顔の火照りや体が熱くなる。大量に発汗する。頭に血が行かなくなって目まいを起こす。汗に伴ってミネラルや塩分が喪失するので、それによって筋肉痛が起きたり一部の筋肉のけいれんやこむら返りが起きたりする」

こうした症状を防ぐため、暑さを避ける、涼しい服装をする水分・塩分を補給するといった一般的によく言われる対処法に加え、まずは暑さを「知る」ことが重要だという。

 秋田赤十字病院・救命救急センターの大村範幸センター長:
「室内での高齢者の熱中症が問題になる。知るということでいえば体感で暑い・寒いというのではなくて、室温計を見て室温を知ってほしい」

さらに、暑さに慣れることも大切だ。

 秋田赤十字病院・救命救急センターの大村範幸センター長:
「暑さに強くなるということではなくて、汗をかきやすく体温調整がしやすい体になるということ。高齢者や運動不足の人、病気を抱えている人は自律神経が弱い。暑さを感じにくい。汗をかきやすい体になるために1日10分でもいいので、汗をかくような軽い運動や入浴、サウナでもいいかもしれないが、そういったものをする」

十分な対策をしていても熱中症の症状が出た場合、水分や塩分を取り、体を冷やす必要がある。

 秋田赤十字病院・救命救急センターの大村範幸センター長:
「手のひらに動脈から静脈につながる太めの血管が走っている。そこを冷やすと冷やされた血液が体の奥の方まで行って、体の中から冷やしてくれる。普通の水道水くらいの温度のものにつけて冷やすというのが効果的。氷のうや冷たいペットボトルの水があるのであれば、冷やすところは6点。一つは首の前後、脇の下、太ももの付け根。そういったところを冷やすと、速く体の中から冷やせる」

身近に熱中症が疑われ意識がもうろうとしている人がいた場合はどうすればよいのだろうか。

 秋田赤十字病院・救命救急センターの大村範幸センター長:
「ペットボトルをふたつきのまま渡して、その人がふたを開けて口まで持って行って飲み込むことができるか。それができないようであればすぐに救急車を呼ぶ。あとは体を冷やすことになるが、ベルトなどを緩めて服の中の風通しを良くする。氷のうなど冷たいものが手に入らないことがあるので、簡単な方法としては、体を濡らしてうちわや扇風機で蒸発させることで、効率的に体温を下げられる」

「熱中症警戒アラート」や新たに運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」が発表された際は、迷わず冷房を使うことや屋外での活動を避けることを徹底し、万が一、症状が出た場合には今回紹介した方法を思い出して熱中症から命を守ってほしい。

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