高級食材であるキングサーモンは一度産卵すると死んでしまうが、そのキングサーモンの卵を何度も産むことができるニジマスを作り出すことに成功したと、東京海洋大学が発表した。
地球温暖化で絶滅が危惧される希少なサケ類を保存していく観点でも期待される。
キングサーモンやベニザケは、一度産卵をすると死んでしまう一方、ニジマスなどは毎年産卵をする。
東京海洋大学の吉崎悟朗教授はキングサーモンの生殖幹細胞をオスとメスのそれぞれのニジマスに移植し、そのニジマスがキングサーモンの卵と精子を生産したことを確認したという。
さらに、キングサーモンは一度しか産卵しないが、移植されたニジマスは4年間にわたり、キングサーモンの卵と精子を生産したうえ、これらの卵と精子を受精させ健常なキングサーモンも生まれたという。
キングサーモンは人気で商品価値が高いが、成熟するまでに3年から4年がかかるうえ、一度産卵すると死んでしまう。一方ニジマスは、1年から2年で成熟するうえ、何回も産卵することが可能だ。
吉崎教授は「地球環境が急激に変わっていて、魚も苦しい。冷たい水を好む魚は北へ北へ移動し、場合によっては絶滅している。このような魚種を守るためにはこういう技術が重要」と訴えた。そして、「今回の研究と生殖幹細胞の凍結とを組み合わせることで絶滅が危惧されるキングサーモンを必要な時にいつでも生産することも可能になる」としている。
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